褒めてくれて大事にしてくれるのは有難い人
やがて私は、人から褒めてもらえないのがあたりまえ、大事にしてもらえなくてあたりまえで期待しすぎてはいけないと、だんだんわかってきました。
でもそんななかで、たまたま褒めてくださったり、大事に思ってくださったりする方もいます。すると、そんな方は特別なのだ、ふつうではない有り難い人なのだと、感謝できるようになりました。
人から大事にしてほしいと願っても、必ずしも相手がその願いをかなえてくれるわけではないこともたびたび経験します。相手には相手の好みがあり、価値観があり、スタイルがあります。こちらが好かれようとしても相手から好かれないことがあります。
こうした経験が続くと、相手に好いてもらう、大事にしてもらう、尊重してもらうのをあてにしてはいけないと考え、好いてもらえる、大事にしてもらえる、尊重してもらえるのはとても有り難いこととわかってきます。
人間関係の豊かな人と貧しい人との大きな違い
家族や友人にも期待してはいけない、周囲に迷惑をかけてはいけない、自分の悩みや心配事は一人で解決しなければならないと、多くの人がそう思っているのではないでしょうか。それが現代の人々を孤立させています。
本書で紹介するハーバード大学の成人発達研究では、人間関係の豊かな人と貧しい人との大きな違いは、自分から妻、子ども、友人に関心を持つか、話しかけるか、働きかけるかどうかだといわれています。
人間関係の豊かな人は相手に関心を示し、相手がいまどんな状態なのか、何に関心を持っているのか、何をしているのかを聞こうとするそうです。そして相手が何をしてほしいと思っているかを考え、それに応えるように動くのです。
それにひきかえ、温かい気持ちを抱いている相手にも「相手は自分の悩みなんて関心がないだろう」「自分の悩みを知らせてわずらわせてはいけない」「自分の問題は自分で解決しなければならない」と思い込んで遠慮している人の人間関係は貧しくなり、孤立していきます。
私も年を取って少し経験を積んだ結果、相手にどう思われるか迷ったり、遠慮したりせず、自分がいってあげたいことは伝えるほうがよい、と考えるようになりました。