小泉進次郎氏が「自民党支持層」から人気を集めるワケ
「進次郎フィーバー」が止まらない。
小泉進次郎氏が、自民党の総裁選挙への立候補表明を9月6日に行う。進次郎氏は、日本経済新聞社とテレビ東京が8月21日と22日に実施した世論調査では、「事実上の首相となる次の自民党総裁にふさわしい人」で23%を集め首位に、産経新聞社とFNN(フジテレビ系列のニュースネットワーク)が8月24日と25日に行った調査では、22.4%でトップだった。
読売新聞の調査では、石破茂氏の22%に次ぐ2位(20%)になったものの、注目すべき点は、自民党支持層からの人気である。各社の世論調査結果によれば、進次郎氏は、自民党支持層に限ると、共同、日経、読売、朝日、産経の5社の調査で首位となったのである。石破氏が野党支持層の人気を集めていると、かねて指摘されているから、逆に、自民党支持層では相対的に進次郎氏が浮上する。そう考えれば、とりたてて驚くには値しないのかもしれない。
ただ、とりわけ自民支持層が進次郎氏を評価する理由は、彼が「世襲」議員だからなのではないか。
一見すると「世襲」への世論は厳しいが…
今回の自民党総裁選には、12人の名前が挙がっている。作家・個人投資家の山本一郎氏がコミカルに描いた表(文春オンライン)のように、12人のうち5人が「世襲」とされており、加藤勝信氏は「お婿さん」と書かれているから、広い意味で親に続く候補者は半数いると言えよう。
2021年の総裁選では、4人の候補者のうち3人(岸田文雄、野田聖子、河野太郎の3氏)が「世襲議員」だった点が批判の的となった。立憲民主党の代表選への立候補を表明した野田佳彦元首相が「世襲の禁止」を訴えたり、毎日新聞が昨年12月8日付の社説で「国会議員の世襲制限」を掲げたりするなど、一見すると世論は厳しい。
日本政治を研究するダニエル・M・スミス氏(現在はペンシルバニア大学助教授)は、2019年に雑誌『中央公論』のインタビューに応え、「世襲」は「日本だけに見られる現象ではありませんが、日本は、その数があまりにも多すぎる」と答えており、小泉進次郎氏への逆風は強まりこそすれ、追い風にはならないように見える。