「骨抜きチキンが高くて買えない」米国民の不満

目下、アメリカの中間層、低所得層のあいだにはインフレへの不満が渦巻いている。

中西部ミネソタ州公共ラジオ局のナンシー・マーシャル=ゲンザー記者は8月上旬、大統領選の接戦州のひとつミシガン州の西部を訪れた。ワイオミングという貧しい町のスーパーで買い物をしていたジョイス・ロビンソン氏(64)に話を聞くと、「本当は骨抜きチキンを丸ごと買いたいんだけど、高くて手が出ないから、安い骨付きのパーツを買っている」と語ったという。

「骨抜きチキンが高くて買えない」
写真=iStock.com/PhanuwatNandee
「骨抜きチキンが高くて買えない」(※写真はイメージです)

また、ウォルマートの駐車場にいたデマーカス・ハリス氏(25)は、「休暇で旅行に行ったり、ペンシルベニア州のフィラデルフィアに住んでいる家族と一緒に過ごしたり、楽しいことをしたい。でも、実際には毎月の生活費を払うのに精一杯さ。食費やガソリン代や家賃で、稼ぎが消えてしまうんだ。今月も家賃が値上げされたよ。貯金なんてできないね」と苦境を訴えたという。

民主党も「アメリカファースト」

米国民の不満が高まる中、米民主党はトランプ的な「アメリカファースト」政策を取り入れ始めている。

たとえば、悪名高い「国境の壁」について、バイデン政権は2023年10月に建設を再開している。

また、2024年6月には南部の国境を不法に越える難民について、亡命申請を禁止する大統領布告を発表したほか、強制送還の対象となる不法移民の数も増やしている。

対外関係でも、バイデン政権の政策はもはやトランプ氏と近くなっている。

バイデン大統領は5月に、中国から輸入されるEVなど主要製品の関税率大幅引き上げを発表したほか、中国政府や企業に対して米国の最先端テクノロジーの移転や輸出を禁じるなど、保護主義的な政策を強化している。