「無理して不便な島を選ぶ」をやってはいけない

【ポイント②】近くに「大都市」がある島を選ぶとメリットが大きくなる

島の家を手に入れて、「二拠点生活や、多拠点生活を楽しみたい」と計画している人の多くが、島の近くに大都市があることを嫌う傾向にあります。

できるだけ人の多い大都市から距離を置きたい……という気持ちは理解できますが、日常生活が不便なだけでなく、その物件を後で手放したり、賃貸に出すことを視野に入れると、無理して不便な島を選ぶことは、あまり得策ではないと考えています。

島の経済圏については、島は近くにある都市の経済に大きな影響を受けますから、大都市が近くにあれば、移住先の候補に選ばれやすくなり、地価が上がる可能性もあります。

島投資の視点で考えた場合、経済的に孤立した島を選ぶよりも、大都市の経済圏に属した島を選択した方が、メリットが大きいと考える必要があるのです。

【ポイント③】築年数や部屋数ではなく「駐車場」の有無が決め手になる

島の家を手に入れて、賃貸住宅として貸し出すことを考えるならば、家の築年数や部屋数、広さなどを判断基準にしないことが大事です。

東京や大阪などの大都会であれば、「築浅か、築古か?」という築年数や、「2DKか、2LDKか?」という間取りの問題はダイレクトに賃貸ニーズに影響しますが、島投資の場合は、それを優先してしまうと、判断を誤ることになります。

僕は優先項目のトップ3を、次のように考えています。

①駐車場か駐車スペースを備えている
②家の前の道が狭すぎず、人やクルマが通行できる
③上下水道が適切に整備されている

大切なのは、日常生活に支障がない程度に環境が整っていることで、いくら築浅の物件で、部屋数が多かったとしても、島の生活必需品であるクルマを停めるスペースが確保されていなければ、それだけで見向きもされないことになります。

都会の判断基準で考えてしまうと、結果的に「空き家」を抱えることになるのです。

桜島
写真=iStock.com/SeanPavonePhoto
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民泊を始めるためには、事前に自治体に届け出をする

【ポイント④】「賃貸」→「民泊」の展開を視野に入れておく

島投資の基本は、自分が住んだり、別荘として利用する物件を選ぶだけでなく、賃貸住宅として人に貸し出すことを想定しておくことが大切です。

賃貸に出して、借り手が定着しないとか、借り手が決まらない場合には、旅行者などに短期で貸し出す「民泊」という選択肢もありますが、民泊を始めるためには、事前に自治体に届け出をする必要があります。

2018年6月に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行されたことで、現在は、誰でも好きに民泊が始められる状況ではなくなっており、SNSやネットなどで客を集めて、無届けのまま勝手に民泊を始めることは「違法行為」になるので要注意です。

ここで民泊の要点を、簡単に整理しておきます。

民泊には、旅館業として実施する「旅館業民泊」と、自治体の許可を受けて運営する「特別民泊」、届け出を出せば始められる「新法民泊」の3種類があります。

それぞれ許可申請や届け出の方法が異なりますが、特別民泊と新法民泊では、最低宿泊日数などにも違いがあります。

特別民泊は、自治体ごとに運営できる地域が決まっており、最低2泊3日からの宿泊しか許可されておらず、主に長期滞在の外国人観光客などがターゲットとなります。

これに対して、新法民泊には最低宿泊日数の制限はなく、1泊2日から宿泊が可能になります。

日本人観光客を想定するならば、こちらを選択するのがベストです。

住宅宿泊事業法には、住宅地域の生活環境の保護と、旅館業法に基づく宿泊業との公平な競争条件を確保するために、1年間の宿泊可能日数を180日までに制限する「180日ルール」と呼ばれる規定もあります。

賃貸住宅として人に貸し出すことに少しでも不安を感じるならば、事前に詳細を確認して、民泊の手続きを進めておけば安心できると思います。