阪神の応援マナーは良くなった
今のプロ野球はほとんどの試合が満員に近いうえに、試合中は応援団が大音量で応援合戦を繰り広げているので、個人のヤジが選手まで達することはほとんどない。
例えば阪神の応援団が最終回に発する「あと一人」「あと1球」コールが「マナー違反ではないか」と言われることはある。
また先日のオールスター戦では、多くの応援団員が、応援コールの最後の部分を「読売倒せ!」に言い換えて叫んでいた。これなども「悪乗り」だといえる。
しかし昨今のプロ野球の応援団のマナーは以前よりは、良くなっている。
筆者は今年、阪神甲子園球場の運営責任者に「2023年の阪神タイガースの優勝と2005年の優勝では、ファン、応援団は変わりましたか?」と聞いた。
「2023年の方がずっとマナーが良くなりました。球団が注意をすれば素直に聞いてくれますし、入退場時のトラブルも少なくなっています」とのことだった。
筆者は昭和の時代から、主としてパ・リーグの球場に通っているが、ヤジは昔の方がずっと多かった。
昔のパ・リーグで聞いた心無いヤジ
大阪球場での南海ホークスの試合では、野村克也捕手兼任監督に向かって
「かんとくー、お前のチームの弱点、おしえたろかー」
というヤジが飛ぶ。思わず野村が客席の方を向くと
「キャッチャーや!」
観客席がどっと沸いた。40歳近くなった野村は、投手のボールをぽろぽろこぼしていたのだ。
日生球場では、近鉄の西本監督に対して
「監督、ここはバントやろー」と声が飛ぶ。
近鉄がバントで送ろうとして失敗すると、
「にしもとー、俺の言うこと聞くなー、俺は素人やー!」
これまた観客席が沸くのだ。
しかしこういう気の利いたヤジだけではなかった。
外国人選手や在日韓国人の選手に差別的なヤジが飛ぶこともあったし、エラーした選手に「やめてまえー」などの心無いヤジも飛んだ。
当時のパ・リーグは多くて数千人しか入っていなかった。だからこうしたヤジは選手にじかに届き、時には選手を傷つけたものだ。ただ、それよりも今問題になっているSNSでの誹謗中傷はさらに深刻といえる。