ダイエットは「性格に合わせたやり方」が成功のカギ

リハビリよりももっと身近な例として、内的統制の人のほうがダイエットを頑張ることを明らかにした研究もあります。

この研究では、過去に体重の10%以上減量した人を対象にしており、そのまま減量を維持している人と、体重が戻ってしまった人に分類し、それぞれの統制の所在を調査しました。

その結果、内的統制の人は減量を維持している傾向が強いことがわかりました。内的統制の人と外的統制の人で、食事の量や内容の差は見られなかったのですが、内的統制の人のほうがよく運動していることもわかりました。

この研究で面白いのは、内的統制の人は「自分で努力して減量した」人が多かった一方で、外的統制の人は「医療や健康のプロフェッショナルの力を借りて減量した」人が多かったことです。統制の所在によって、「努力するための工夫」が異なっていることを示唆しています。

ジムのエアロバイクで運動をする人
写真=iStock.com/maroke
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ある人の統制の所在がわかれば、その人が努力するタイプかどうかを知ることができるかもしれません。

もしそれで「努力しないタイプ」、つまり「なるようにしかならない」「やっぱり運は無視できない」というような外的統制タイプだとわかったとしても、落胆することはありません。

外的統制であるならば、自分1人でやろうとはしないことです。家族や友人、専門家など周囲の積極的なサポートを適切に利用すれば、努力を継続することができる可能性が高いのです。

そしてもし可能であるならば、内的統制になるような意識改革をしましょう。つまり努力したいと思っている物事に対しては「運ではなく、自分の力で結果を変えることができるのだ」と信じてみることです。「人生は自分の力で変えられる」と信じることで、努力は続けやすくなるといえるかもしれません。

努力vs.運、多数派はどっち?

さて、それでは世の中には、どのくらい内的統制の人、つまり「努力を継続できる人」がいるのでしょうか? 努力を継続できる人はたくさんいるのでしょうか? それとも、ほとんどいないのでしょうか?

筆者が、ある大学の授業で集めたデータを紹介しましょう。

この授業の成績は、マークシート形式の期末試験70%と授業内課題30%で最終的に決定されることになっており、この評価方法は学生に通告してありました。単位を得るには60%以上の得点が必要ですので、学生にとってこの授業の期末試験はかなり重要なものであり、それを学生自身も知っていたということです。

最終回の授業で試験範囲などの説明をしたあとで、次のような2つの質問をしました。

Q1 この授業の定期試験(100点満点)で、あなたは何点を取ることができると思いますか?

Q2 Q1で答えた点数を実現するに当たって、現在のあなたの気持ちに最も近いものを1つ選んでください。
 ・(自分の力によって)どうにかできるだろう
 ・(運によって)どうにかなるだろう
 ・(自分の力不足で)どうにもできないだろう
 ・(運が期待できないので)どうにもならないだろう

全部で357人の学生が回答しました。そしてQ2の分布を見ると、全体の約85%の学生が「どうにかできるだろう」というポジティブな予想をしていましたが、その内訳が興味深いことになっています。

「(自分の力によって)どうにかできるだろう」と「(運によって)どうにかなるだろう」を比べてみると、51.0%の学生が「自分の力によってどうにかできる」、34.5%の学生が「運によってどうにかなる」と考えています。

教員目線では、試験が「運頼み」というのは奇妙に思えるのですが、努力がかなりわかりやすく報われるはずの試験においても、運に期待する外的統制の人は一定割合で存在しているといえるでしょう。

前節で紹介した「内的統制の人ほどダイエットを頑張る」という研究でも、239人の実験参加者のうち114人(約48%)が内的統制、125人(約52%)が外的統制でした。