焼肉の部位が覚えきれないほどたくさんあるのはなぜか。フジテレビのバラエティー番組「私のバカせまい史」の放送内容を再構成した書籍より、一部を紹介する――。

※本稿は、フジテレビ「私のバカせまい史」製作委員会 監修『私のバカせまい史 公式資料集』(宝島社)の一部を再編集したものです。

焼き肉
写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです

韓国39種類、アメリカ55種類、日本118種類

▼基本データ
【時期】1946年―2023年
【ジャンル】焼肉
【区分】部位の種類
【関連ワード】ロース、ハラミ、カルビ、海原雄山 ほか

▼概要
焼肉店で料理を注文する際、焼肉の部位は覚えきれないほどたくさんあることに気づく。焼肉の部位はいかにしてその種類を増やしていったのか。部位増加の歴史についてひもといていく。

焼肉店で注文したり、スーパーで牛肉を買ったりするとき、部位ごとに分けられているのが当たり前である。現在、日本の焼肉店で出される焼肉の部位が何種類あるかご存じだろうか? ちなみに韓国では39種類、アメリカでは55種類の牛肉の部位がある。そしてなんと、日本は118種類の部位が存在する。アメリカの倍以上もあるのだ。

こんなにたくさん存在する焼肉の部位だが、そもそも最初は何種類だったのかが気になるところ。

時は遡り、1945年。終戦間もない日本で、ホルモン焼きが大ブームとなる。ホルモン焼きとは、レバーやハツなど、牛の内臓肉をごちゃ混ぜにして鉄板焼きや串焼きにしたものだ。このころはまだ、部位ごとに食べる概念はなかったという。

最初は「カルビ」と「ロース」の2種類のみ

1946年には、大阪の千日前に、元祖といわれる焼肉店「食道園」が開店する。プロレスラーの力道山や、美空ひばりといった昭和の大スターが通った名店だ。このお店では、カルビとロースの2種類のみを提供。アバラ周りの肉をカルビ、それ以外の肉はロースと呼んでいた。つまり、最初部位は2種類しかなかったのである(図表1)。

【図表1】1946年~1960年代の部位数
出所=『私のバカせまい史 公式資料集』(宝島社)

現在、サーロインやシャトーブリアン、ザブトン、ミスジ、イチボと呼ばれている部位も、当時はすべてロース(図表2)。いわば“ほぼロース時代”が幕を開けたのだ。

このほぼロース時代は30年以上も続き、カルビとロースの2種類から長らく変化はなかった。

【図表2】部位はほぼロースだった
出所=『私のバカせまい史 公式資料集』(宝島社)