「結婚はそのうちでいいか(笑)」

そもそも僕は今、バレーボール以外のことに興味がなく、バレーボール以外のことが考えられないから、無理に考える必要はないと思っている。

同世代には、結婚して、子どもにも恵まれている仲間もいる。

幸せそうな生活を見ていると、素直に「いいな」と思うし、自分も結婚したいな、と思うことはあるけれど、今は現実的ではない。

タイミングがきたら結婚もすると思うが、何より1人でできるものではなく、そう思える相手に出会えて、タイミングが合って、初めて成り立つものだと思う。

僕が「このタイミングで結婚する」と決められるものではないので、「まあ、そのうちでいいか」というのが正直な気持ちだ(笑)。

何より自分の生活を見返すと、完全にバレーボール優先であるのは否めず、睡眠や食事、休息時間もすべて自分のペースで、すべてバレーボールにつながっている。

僕自身、生活のリズムを簡単に変えられるタイプではないので、誰かと生活することになってそこが変わってしまうとどうなるんだろうと思ってしまうし、そもそもバレーボールのシーズンが始まれば、チームメイトや関係者以外、ほとんど人と会う機会もない生活で、自分から積極的に会いに行こうとも思っていない。

もちろんオフシーズンは、友達と会ってリラックスした時間を過ごすこともあるけれど、結婚となればまた別の話。時間、タイミング、相手がいて成立するものだ。

結婚もしていないし、する予定もないのに偉そうなことを語っているけど(笑)、僕は今、選手として本当に充実した、成長できる時期を迎えていると実感している。

だからそのことだけにフォーカスしていきたい。

そして、1人の選手として自分を高めていくことはもちろん、バレーボールの将来を考えて、子どもたちや若い人たちのためにできることを行って、残して、つないでいきたい。

石川祐希選手
徳間書店提供

28歳、まだまだ伸びしろはある

もちろん、選手として抱く目標をつかみにいく。

日本の方々だけでなく、世界中の人たちの記憶に残る選手になることも僕の目標だ。

どれだけトライできるかはわからない。でも、今の身体の感覚としては、24歳、25歳ぐらいだと感じているので、まだまだ伸びしろはあると思っている。

先は長いし、自分がどんなパフォーマンスをして、どんな結果を残せるかということを、誰よりも自分自身が楽しみにしている。

イタリアでプレーするプロ選手としては、セリエAやチャンピオンズリーグで優勝してMVPを獲ること。

そして、日本代表選手としては、パリオリンピックで金メダルを獲ること。

それが今の僕にとって現時点の最大の目標、最大の頂だ。

日本代表に選出されてから、さまざまな国際大会に出るたびに、「メダル」を期待されていることを実感してきた。

だけど僕は、実際に狙える位置にいないときは、「メダルが獲れるようにがんばります」と言ったことはあっても、「獲ります」とは言えなかった。

でも今は違う。オリンピックでメダルを獲れる位置にいると実際に思っているので、そこにトライしたいし、それだけの覚悟がある。

2023年の東京でのオリンピック予選以上に、オリンピックの本番は何が起こるかわからない。

グループリーグの予選で負けることだってあるかもしれない。

石川祐希『頂を目指して』(徳間書店)
石川祐希『頂を目指して』(徳間書店)

何事もやってみなければわからない。

それでも僕は自信をもってこう言える。

メダルを獲るために、本気で挑みます、と。

だから、あとはやるだけだ。

覚悟をもって、すべてをぶつける。

必ず「できる」。

誰よりも信じている、自分を。

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