「失敗を恐れずやってみよう」ではダメ

「失敗を恐れず、何でもやってみよう!」と励まされても、言われた側は何から手をつけたら良いのか見当もつかず、戸惑ってしまいます。そもそも若い彼らは、失敗した経験がそこまでないので、失敗したときの自分の姿を想像出来ず、それが怖いのです。

それよりも、相手が「今、出来ること」「話せること」にフォーカスしてみましょう。

先ほどの例ならば、「少しでも良いから、今進めていることがあったら聞きたい」「上手く進められなかった経緯を教えて」などでしょうか。

そうして相手から出てきた発言を全面的に肯定していくと、相手も自信がつき、話しやすくなります。相手が答えやすい話題を振りながら会話を増やしていき、相手の発言を引き出していきましょう。

普段無口な人が発言してくれることで、周囲のメンバーの気持ちもほぐれます。「自分も話して大丈夫かもしれない」と感じ、チームメンバーからの発言がどんどん増えていくでしょう。

いつも発言してくれる人の意見も大事ですが、案外、それを普段から見ているだけの人というのは、冷静に状況を見て、何か面白いことを考えているケースが多いものです。

そのような人から、上手に意見を聞き出せるようになりたいものです。

相手に質問するときに気をつけること

根本的な原因を洗い出すには、『「若手と一緒に成果を出したい!」と思ったら。』の138ページのような「なぜなぜゲーム」が有効です。その際「なんで?」「どうして?」と聞くと、相手は責められたり、自分を否定されたりしているような気持ちになり、発言しにくくなってしまうでしょう。

スタッフからの正直な気持ちや、正しい現状を引き出して改善するために、先に「なぜこの質問をするのか」理由を話してしまいましょう。

とあるメーカーでの店長会で、売上改善に向けて話し合うことになりました。私としてはなぜ売上が悪いのかという事実だけ確認したかったのですが、「売上が振るわないのは、なぜでしょうか」「どんなことに原因がありそうですか」と質問すると、どの店長も気まずそうな顔になってしまいました。

私は腹を割って話してもらい、改善に向けてのやり取りをしたかったのですが、店長たちは私に対して壁を作ってしまいました。結局、その日は表面的なやり取りばかりで、本質的な問題も出てこないまま会議は終わりました。