「あなたを責めるつもりはありません」

ものごとがうまくいっていないときは、どんな聞き方をしても、相手は「責められている」と感じ、つい身構えてしまうものです。相手の緊張を解くため「自分はあなたを責めるつもりはありません」と、しっかり前置きした上で会話をしてみましょう。

私が店長だったときのエリアマネージャーは、人から悩みを引き出すのが上手な人でした。彼女は売上が悪い原因を引き出すために、私にあれこれ質問を投げかけてきましたが、その際は必ずこんな言葉を伝えてくれました。

「今日は、一緒に問題を解決したいと思っているんだよね」
「私が質問をするのは、平山さんが悪いと言いたいわけじゃなくて、純粋に自分の疑問として聞きたいことだから、遠慮なく話して欲しい」

このエリアマネージャーは、たとえ聞いた側が眉間に皺を寄せてしまうような話に対しても、決して責めませんでした。

目的は相手から本音を引き出すことなので、そうしやすいよう、丁寧に言葉を添えてくれていたのです。

質問は、話し方を間違えると途端に「詰問」になりがちです。そうではなく、お互いの前進のために話して欲しいと伝えた上で、経緯ややり方を聞いてみましょう。また、聞き方のテクニックとして、「きっかけ」ではなく「経緯」を聞くようにしましょう。

「なぜ?」ではなく「どのように考えたかを教えてください」と伝えると、相手は話しやすくなります。質問を目的にするのではなく、相手がうまくいっていない理由を聞き出し一緒に解決出来るよう、聞き方も工夫してみましょう。

こうすれば「会議の場」でみなが発言する

ディスカッションやグループワークを行うと、必ず、意見が活発な人と、そうではない人に分かれがちです。近年では、率先して発言するのが気まずいと感じ、意見が出ずに終わってしまう場合もあるでしょう。そのような場合は、まんべんなく発言してもらう仕組みを作ってみましょう。

とある専門学校でグループワークを行った後、発表の場を設けました。そのクラスでは、グループごとにリーダーがいて、発表の担当とされています。リーダーがみんなを引っ張って行動出来るのでワークがスムーズに進む反面、自分は発表しないから、とワークに消極的な生徒もいました。そこで、私はサイコロを使うことにしました。

赤いサイコロを掴もうとする指
写真=iStock.com/pjjones
※写真はイメージです

グループと、そのグループのメンバーに数字を割り振り、発表順も、発表する人もサイコロで決めました。当然、サイコロで決めるとなれば、私でも誰が発表することになるか、わかりません。

今まで「自分は発表しないから大丈夫」と悠長に構えていた生徒たちは、慌ててワークに参加するようになりました。

すると、半ば強制的ではありますが、ワークに参加してみたら意外と自分でも出来る、楽しい、と感じてくれたようです。普段は黙っていた生徒の発言も聞けるようになりました。