同じ病院を受診するにしても、より質の高い医療を受けるにはどうすればいいか。内科医の名取宏さんは「受診のタイミングや問診への答え方などに、いくつかのポイントがある」という――。
医師と患者
写真=iStock.com/kokoroyuki
※写真はイメージです

公平で質の高い医療が受けられる日本

日本は諸外国と比べ、質の高い医療を公平に受けることができる国です。なぜなら、すべての人が公的医療保険に加入することで支え合う「国民皆保険制度」があり、医療サービスの値段が公定価格で定められているから。

それに対して、例えば公的医療保険が限定的なアメリカ合衆国では病院が自由に値段を設定できるため、医療費が高くなりがちです。医療費が支払えないために自己破産する人が多く存在するほど。イギリスでは医療費の自己負担はなく無料で受けることができますが、その代わり受診先は選べず、まずはGPと呼ばれるかかりつけ医を受診し、必要があれば専門医に紹介される仕組みです。近年は医療従事者が不足しており、この時点で数週間の待ち時間が生じることもあります。

日本では全国どこでも同じ値段でクリニックを選んで受診でき、待ち時間があるとしても長くて数時間。このような国は世界でもめずらしいといえます。しかし、すべての患者さんが満足できているわけではありません。医療者側も常に努力していますが、患者さん側のご協力があれば、よりいっそう質の高い医療を提供することができます。そこで今回は、よりよい医療を受けるためのちょっとした秘訣についてお話ししたいと思います。

受付終了時間ギリギリの受診はよくない

まずは、受診する時間帯について。待ち時間が少なくなると考えて受付終了時間ギリギリに受診される患者さんもいますが、あまりおすすめできません。仕事の都合や急な症状でどうしても時間が取れない場合は仕方がありませんが、ゆとりをもって受診していただいたほうがよい医療を受けられる確率が高くなります。

常に最善の診療をするのが理想ですが、医師も人間です。十分な時間が取れないと焦ってしまい、いつものような診療ができるとは限りません。また採血や画像検査の結果が出るのを待っていると完全に時間外になります。そうなると、検査結果などは翌日に持ち越しになるかもしれません。

また、転院が必要な病状だったとしても、遅い時間だと多くの病院が業務を終了してしまうために選択肢が狭まります。同様の理由で、連休直前や連休の合間の平日には、急を要さない受診は避けたほうが賢明です。