24年大卒者の就職内定率は5割以下に
「中国恒大集団」「碧桂園」など大手不動産会社の経営悪化から端を発した中国の経済低迷が想像以上に深刻化している。
7月1日、北海道・占冠村にある「星野リゾートトマム」を所有していた中国企業「豫園商城」が、約408億円で同施設を都内にある不動産投資合同会社に売却したことが報じられ、「資金繰りの悪化が想像以上に深刻なのでは……」との憶測を呼んでいる。中国の今年第1四半期の経済成長率は5.3%と回復基調にあるものの、不動産業の不振は変わらず、内需も低迷しており、中国経済に明るい見通しは立っていない。
そうしたこともあり、若者の就職難が極めて厳しい状況となっている。今年5月、学生を除いた16~24歳までの若者の失業率は14.2%で、ここ数カ月、高止まりしている。
とくに深刻なのが大卒者の就職難だ。6月~7月はちょうど中国の大学の卒業シーズン(9月が新学期)に当たり、各大学で卒業式が行われている。今年の卒業生は大学院生を含め、過去最多の1179万人に上るが、就職内定率は約48%と5割以下にとどまっており、コロナ禍前(2019年)の75%を大きく下回っている。
“延命策”として大学院志望者が殺到
大卒者の2人に1人は就職先が決まらないまま、大学を卒業することになるが、中国南部の大学で教鞭を執る筆者の知人の教授は「(卒業式に着用する)礼服姿で、卒業式を迎えたときはうれしそうだったが、『先生、私、明日からどうしよう……』とつぶやいた学生もいて、彼らの今後がとても心配です。若者が仕事もせずブラブラしているのは、社会不安にもつながりかねない……」と話していた。
東北部にある大学で教える別の知人は「東北部はとくに就職先が少ない上、初任給も安く、就職内定を勝ち取るのは非常に厳しい状況です。私が教えるのは外国語学部なので、就職できないなら、この際、ということで留学を決めた学生も多い。行き先は海外の大学院や語学学校などですが、延命策に過ぎないとも感じます」と語る。
24年3月、中国教育部(日本の文科省に相当)の発表によると、23年の大学院の受験生は約400万人で、合格者は約130万人だった。修士課程、博士課程ともに合格者は増加しており、就職できなかった学部生が大学院進学に押し寄せる、という現象も起きている。少しでも自身の学歴を上げ、いい就職があったときに備えるということだ。
しかし、前述の知人は「大学院進学希望者も多すぎて、簡単に進学できなくなってきたため、留学という選択肢をとる」というが、留学するには経済力が必要であり、それも誰もができるというわけではない。