「適度なストレス」は良い効果をもたらす

この記事を読まれている方は「ストレスなんてゼロになればいいのに!」と望んでいるかもしれません。もちろん過重労働やストレス過多な生活は心身に悪影響をおよぼしますが、「適度なストレス」は人にとって良い効果をもたらします。

それを表すのが「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という生理心理学の基本とされる法則です。

これは心理学者のR・ヤーキーズ博士とJ・D・ドットソン博士によるパフォーマンスとストレスの関係を示した理論で、「高すぎず・低すぎない」適度なストレスがある方が、最適なパフォーマンスにつながると言われています。

「ストレスが低すぎる」と生きる気力が失われていく

そもそもストレスは物理学用語で、モノに刺激が加わったときに起きるあらゆる反応を意味します。これを「ストレス反応」と呼びます。

例えば、柔らかいボールがあるとして、ボールを凹ませる力がストレッサー(刺激)、その刺激に対する反応が「ストレス反応」です。

ストレスが低すぎる状態とは、この刺激がまったくないということを指します。例えるなら、誰にも会わない、仕事もしない、何の予定もないといった状態です。

ソファで寝る男性
写真=iStock.com/takasuu
「ストレスが低すぎる」と生きる気力が失われていく(※写真はイメージです)

これでは変化に反応しない=柔軟性を育めないので、パフォーマンスを発揮できないどころか、日々の生活が無気力・無反応になり、人として生きる気力が失われていきます。結果として、さらに深いネガティブ感情へと沈み込んでいくということを知っていただければと思います。