「お世話になっています」は情緒がない

「お世話になっています」というメールの書き出しをやめて、久しくなります。

なぜ書かなくなったかというと、空々しく感じるし、情緒もないから。

もちろん、「お世話になっている」という感謝の気持ちはあり、折に触れて感謝も伝えます。しかし、いつでも、どこでも、だれに対しても、まず「お世話になります」では、言葉と気持ちのズレがあり、違う気がするのです。

実際に顔を合わせて「こんにちは」と言う挨拶と違って、メールの定型文では感情が伝わらず、なおさら冷たく感じてしまう。「お世話になっています」のあとの文は「書類を添付します。よろしくお願いします」となり、まるでAIが書いているよう。それぞれの関係性においての挨拶の仕方があるように、冒頭の言葉はとても大事。その人に向けてのオリジナルな言葉があるはずです。

ノートパソコンを使用している女性
写真=iStock.com/oatawa
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心の距離が縮まるメールの書き出し

「定型文のほうがラク」と思われるかもしれませんが、むずかしいことではありません。会話をするように「こんにちは。雨が続きますね」「風薫る季節になりました」「先日はランチをご一緒できてよかったです」など、なんだっていいのです。

それだけで、血の通った言葉になり、相手とちゃんと向き合う姿勢になります。

不思議とそのあとの文も、伝えたいことが、会話のようにするする出てきます。

仕事でやりとりをする編集者さんの書き出しに感動することがあります。

「こんにちは。やっと夜も暖かい日が増えて、外呑みが楽しい時期に突入です」「実家に帰省し、MC的な立ち振る舞いでがんばったところ、全員の話が弾みだしたのが正月のハイライトです」「今週末、開花しそうですね。冬コーデはもうじゅうぶん楽しみました」など、情景がリアルに思い浮かんで、心の距離がぐっと縮まります。

「自分の言葉を紡ぐ」習慣は、表現のボキャブラリーを増やすと同時に、人と人とのコミュニケーションを丁寧にする習慣になるのです。