刑務所の中では、どんな生活が行われているのか。元法務大臣で、刑務所で服役していた河井克行さんは「ほぼ全ての動作に担当刑務官の許しがいる。これでは刑務官の負担が大きく、受刑者の反省を促すことは難しい」という――。(第2回)

※本稿は、河井克行『獄中日記 塀の中に落ちた法務大臣の1160日』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

刑務所の廊下
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出所したのに再び堀の中に戻ってしまうワケ

僕の受刑者生活は、10月で丸1年になる。服役前の拘置所での384日を加えると、塀の中での生活は2年を超えた。実際に受刑者になって初めて分かったことも多い。

実は僕は国会議員時代、更生保護の推進に人一倍熱心に取り組んでいた。2007年、第一次安倍改造内閣で法務副大臣に任じられた僕は、敬愛する鳩山邦夫法相の指示の下、当時、深刻な問題であった刑事施設の過剰収容の実態を調べるため、全国の施設を視察して回った。多分、歴代の副大臣で最多の視察件数だったのではないか。

僕は、過剰収容の根本的な解決は、再犯して何度も服役する人たちを減らすことだと考え、鳩山大臣にお願いして、再犯対策充実の特命を下していただいた。

職に就かない出所者の再犯率が高いことに鑑み、僕は特に就労支援の推進に心を砕いた。首相官邸で開かれた副大臣会議の議題に就労支援を上げ、政府全体での取り組みを要請したり、全国に先駆け、地元・広島で経済団体や地方自治体を入れた就労支援促進の協議会を立ち上げたりした。

副大臣退任後には、自民党の初当選同期議員らと「更生保護を考える議員の会」を結成し、幹事長に就いた。受刑者の仮出所後のお世話をする保護司の皆さんの処遇改善や、保護司が集うサポートセンターの全国展開を急ぐよう、関係する役所に働きかけることもした。

平成20年に出所した受刑者のうち、5年以内に再び塀の中に入った者の率は39.8%だったのに、平成25年が38.2%、平成29年は37.2%とほとんど減っていない。10年以内の再入率を見ると、平成20年出所者では46.1%に達したほど深刻である。