不機嫌な様子を見せ、大きなため息をつく

私もそのようなケースを多々経験してきましたが、彼らの厄介なところは直接言いたいことを言わずに、態度や行動で、否定、拒否、拒絶を表してくるところです。

もっとわかりやすい態度でいえば、例えば、

・無視する
・不機嫌な様子を見せる
・大きなため息をつく
・話をしている最中にあくびをする

こういった態度も直接相手にぶつけるわけではなく、遠回しに相手を困らせる受動攻撃として知られています。

こういった態度や行為が難しいのは、問いただしにくいところです。仮に、こちらがいくら問いただしたところで、「そんなつもりはありません」で終わってしまいます。

それどころか、「あなたがそのような攻撃的な捉え方をしているからではないのですか」と返されてしまうことだってあります。

ですから、意図的にやったことなのかどうかわからないうちは相手に問いただすこともできません。

このような受動的な攻撃性の高い人に攻撃されると、非常に不愉快なモヤモヤ感がくすぶり続けます。一緒にいるだけで精神的な疲労を感じ、その人に会うだけでげんなりしてくるようになります。

オフィスで、不機嫌そうな人に話しかける人
写真=iStock.com/somethingway
※写真はイメージです

「おとなしめのいい人タイプ」は要注意

このような「受動攻撃」的なコミュニケーションをする人の傾向は私が見てきた限り、次のようなものがあります。

・日頃は口数が少なく丁寧な言葉遣いをする
・おとなしめのいい人タイプ
・喜怒哀楽をあまり表現しない
・人付き合いが表面的で深い付き合いはない
・幼少期の家族関係が良くない(毒親育ち・両親の離婚)
・アルコール依存、買い物依存などの各種依存症の傾向がある

ケースバイケースではありますが、私の今まで見てきた受動攻撃タイプの人で圧倒的に多いのは、幼少期に支配的な親に育てられて、自分を表現したり、自分の欲求や感情を出したりすることを禁止されてきた人です。

なぜなら、親に嫌だなどと言おうものなら、否定や拒絶され、見捨てられて孤立させると脅されてきたからです。だから自分の本音を言ったら、見捨てられ生きていけないという恐怖を無意識に感じてしまうわけです。

その恐怖を避けるために、支配者に服従しながら顔色をうかがう一方、関係のない相手には遠まわしの攻撃をすることで、ある意味本人の心はバランスを保っているともいえます。

嫌いといえない代わりに、嫌いというメッセージを行動で示すこと。

これが受動攻撃の本質ですが、ある意味出せない相手に対する怒りを関係のない相手にぶつけて解消する「怒りの置き換え」という心理でも説明できます。

本人にとってはこれまで抑圧してきた怒りや悲しみ、恨み、憎しみ、敵意などを関係のない相手に使うことで過去の葛藤かっとうを解消しています。そうすることで自分の心のバランスを取っています。

しかし、攻撃される相手からすれば何も関係のないわけですから、非常に迷惑です。