NHKラジオ講師・杉田敏に学ぶ習得法

プラップジャパン社長 
杉田 敏氏

語学の学習に関して、古今東西さまざまなことがいわれているなかで、これこそ真理だと私が確信している原則がひとつあります。それは、いかなる言語も時間とお金を犠牲にせずには習得できないということです。

アフターファイブは同僚と赤ちょうちんで会社の愚痴をこぼし、帰宅したらお笑い番組を観て寝るという日々を送っている人が、ライフスタイルはそのままでなおかつ英語もものにするなどというのは土台無理。まず必要なのは、これまでの生活の何かをあきらめて、その分を学習に充てるという覚悟です。また、どれだけの時間とお金が捻出できるかで学習方法も違ってきます。

例えば時間なら2000時間。TOEICにしても英会話にしても、これくらいはかけないと効果は期待できないとさまざまな人がいっています。この2000という数字にどれくらい根拠があるかわかりませんが、語学の場合はどんな人でも、ある程度の時間をかけないと結果が出るまでに至らないのはたしかです。

英語に費やせる時間は1日せいぜい30分、投資できるお金もほとんどないというなら、300円でNHKラジオ講座のテキストを買って、15分間番組を聴き、復習にもう15分かける。これだって1年継続すれば、続けただけの効果は出ます。ただし、海外のビジネススクールでMBAを取得できるだけの英語力を1年で身につけたいという人は、もちろんこれだけでは足りません。当たり前ですが、目標が大きくなればその分払うコストと犠牲も大きくなります。

また英語は聴く、話す、読む、書くのうちどれから勉強したらいいかという質問をよくされますが、それらすべてを合わせたものが言語能力なのですから、切り離して考えるのは間違いです。

ただし、話すには相手が要るし、書いたものは誰かに見てもらわないと、それが正しいかどうかわかりません。その点、聴く、読むというのはやる気さえあれば、自分ひとりでいくらでもできるので、独学で英語を学ぼうという人は、聴くと読むを徹底的にやるところから始めるのがいいと思います。それに大量に聴く、読むことを続けていると、自動的に話す、書く能力も養われてくるのです。