健康で長生きするにはどうすればいいのか。脳科学者の西剛志さんは「脳の老化を防ぐことが大切だ。指先を速く動かすことで脳の認知機能を高めることができるため、おりがみは脳活に最適な方法の一つと言える」という。86歳のおりがみ作家・伊達博充さんの著書『脳科学でわかった! 80歳からでも若返るすごい脳活おりがみ』(あさ出版)から、2人の対談を紹介する――。
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歳を重ねても脳のネットワークは進化する

【西・脳科学者】あるピアニストの研究で、指を速く動かせるピアニストのほうが、より脳の神経細胞が活動していることがわかりました。つまり、指を速く動かせるかどうかは指の筋力の違いではなく、脳の活動状態の違いだったというわけです。

いってみれば、歳を取るといろいろなところの筋力が衰えますが、指を速く動かすことに関しては、筋力よりも脳のほうが影響が大きいということです。

実際に歳を取っても指を速く動かす練習をすると、認知機能が上がる、という研究結果もあります。これは、指を速く動かすことで、神経細胞が活性化するためです。

【伊達・おりがみ作家】高齢者でも神経細胞は活性化しますか?

【西】60歳以上でも、あきらめる必要はありません。個人差はありますが、練習で指を速く動かせるようになるにつれて、脳の活動が増えていきます。

【伊達】意外です。歳を取ると脳の神経細胞は減るものだと思っていました。

【西】基本的に加齢によって神経細胞の数は減ります(ただし、一部の神経細胞は増えます。第5章で詳しく説明します)。しかし、神経細胞同士をつなぐネットワークを増やすことはできます。刺激を与えると、このネットワークが増えることがわかっています。脳にとって神経細胞同士のネットワークを増やし、質を高めることがとても大切なのです。

刺激を与えることで神経細胞は活性化する

【伊達】神経細胞が減ってネットワークが増える?

【西】わかりにくかったですかね。たとえば、脳を損傷して、足が動かなくなった人でも、リハビリを行って歩けるようになった、というケースはよくあります。これは脳の損傷した部分はそのままでも、神経細胞のほかのネットワークをつなぐことで、補われて、歩けるようになるためです。

何もしなければ、ネットワークはできませんが、動かそうと刺激を与えると、神経細胞がつながって、動作するようになります。