100歳を超えても元気な人が食べているモノ
先にも紹介した柴田博先生は、100歳を超える“百寿者”の研究で知られます。柴田先生が、オリジナルの研究を始めたのは1972年。今から50年も前ですから、その先進性には驚くばかりです。世界の老年学に先駆けた、偉業と言えます。
今では百寿者は日本全国で9万人を超えました。しかし、当時は500名ほどだったそうです。その中から105人を選び、北海道から沖縄までの全都道府県を、家庭訪問しました。柴田先生は医師ですが、他にも栄養学者、社会学者、心理学者など、幅広い角度からの研究が可能な体制で臨まれたと伺いました。
図表3は、百寿者の食事内容の調査結果です。研究の開始から10年が経ち、百寿者も1000人を超えています。比較の対象は「全国の20歳以上」で国民健康・栄養調査から割り出した数値です。
よく食べる高齢者ほど元気
注目すべきは「魚介、肉、大豆製品、卵」の多さで、柴田先生によれば「たんぱく質の摂取量が多かったが、とくに動物性たんぱく質の多さが印象的だった」と言います。朝昼夜の食事の2回以上に、魚か肉か卵かのたんぱく質を摂っているわけです。
同時に、緑黄色野菜も、毎日食べている人が多いことがわかります。牛乳や油料理は、若い世代とほぼ同じくらい。
つまり、若い世代よりよく食べている、ということがわかるのです。「よく食べる高齢者ほど元気」と、私は何度も自著の中で指摘してきましたが、それはこの百寿者の実態調査からもわかります。