健康診断で「コレステロール値が高い」と指摘されたら、どうすればいいのか。医師の和田秀樹さんは「気にしなくていい。むしろコレステロール値が低い人のほうが、死亡率は高い」という――。(第1回)
※本稿は、和田秀樹『コレステロールは下げるな』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
コレステロールを下げてはいけない2つの理由
私はこれまで「血糖値は下げなくていい」とか「血圧は下げなくていい」と言ってきました。しかしコレステロールに関しては“下げてはいけない”に近いものだと考えています。その理由は追い追いお話ししますが、まずは大事なポイントを2つ押さえておいてください。
一つは、コレステロールが含まれる食品を食べたときに、一定量までは「血中コレステロール」が増えていくのですが、それを超えると変わらなくなることです。下の図表1のように「天井値」に達すると、それ以上は全く増えなくなるのです。
もう一つは、コレステロールの“出元”です。みなさんは、コレステロールは食物に含まれていると思っているでしょう。だから「摂り過ぎてはいけない」と節制するわけですが、事実は少し違います。
実は、コレステロールはおよそ8割が体内で作られ、外部(つまり食物)から摂取するのは2割ほどしかありません。
このためコレステロールの多い食事をしても、少ない食事でも、最終的な血中コレステロールの量はそれほど変わらないわけです。
先ほど「天井値に達すると増えなくなる」と話しましたが、食物から摂取するコレステロールが多ければ、体は自然に生成を減らします。反対に、摂取量が少なければ体内での生成を増やすのです。