資格制度の整備は急務
このような専門の学部や修士課程を設け、人材を輩出することも重要であろう。「官」においては、「モビリティーアーキテクト」の人材に関する資格制度などを整備することが効果的だろう。
例えばデジタル人材の分野では、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進人材に求められるデジタルスキルなどを定義した「デジタルスキル標準」を策定し、企業の人材育成を後押ししている。
このような取り組みを、モビリティーデザインの領域でも進めていくことが必要だ。
グローバルでも「モビリティーアーキテクト」となるような人材は希少である。学習するインフラを整えながら、実地経験を異業種の観点から積んだ人材を大量に輩出することができれば、日本ならではのモビリティーデザインを創出することが可能になるだろう。
自動車大国からモビリティー大国へ
日本は世界に先駆けて地方の人口減少や、高齢化に苦しんでいる。高齢化に伴う危険運転が取り沙汰され高齢者は免許返納を余儀なくされる一方で、公共交通は衰退。移動そのものの負担が問題となり始めている。
今後は、人口が減少する地域でも、人々の生活が豊かになるモビリティーサービスをデザインしていくべきだ。このようなモビリティーデザインのパッケージをつくり上げることができれば、人口が減少する地域でも人々の笑顔を増やすことができるだろう。
かつて日本が自動車大国として世界を席巻したように、モビリティー大国として世界に先駆けてモデルを輸出するまたとないチャンスが来ている。