いまの世界には、以上のような英語を基盤とした序列構造が存在します。それを図で示したのが「英語支配の序列構造」のピラミッドです。
英語を母語として育った「特権表現階級」であるネイティブ・スピーカーの下に、英米の植民地だった国や大陸、ヨーロッパの人々(「中流表現階級」)が位置し、裾野に近い部分に日本人をはじめ英語を外国語として使う「労働者表現階級」の人たちがいます。一番下に位置する「沈黙階級」とは、中東の一部の国や北朝鮮の国民のように、英語圏との接触がきわめて少なく、ほとんど英語を学ぶことのない人たちです。
日本人などが労働者表現階級であるというのは、英語学習という労働をほぼ永遠に続けなければならないからです。これはおかしなことではないでしょうか。
私はそうした現状に異を唱え、英語偏重ではない「より公正なコミュニケーション」の実現を目指してきました。そこへ飛び込んできたのが、楽天、ユニクロの英語公用語化のニュースだったのです。
私は即座に、両社のような影響力の大きい企業が英語公用語化に踏み切れば、日本社会に計り知れない影響を与えると判断しました。そこで、施策の再考をお願いするため、両社社長に宛て同じ内容の手紙をお送りしました。
その中で、私は「英語の社内公用語化」がはらむ3つの問題について指摘しました。