職場のデスクで簡単にできるセルフケア

もちろん、この「指ひっぱり」は机に向き合う前傾姿勢が多い学生さん、パソコン作業が必須のビジネスパーソンにも最適です。今すぐ、一緒にやってみましょう。

あなたが今、電車の座席に座っていても、職場のデスクにいても、即実践できるメソッドです。

指の関節は、最も先端にあるほうから「第一関節」、「第二関節」といいます。手全体の力を抜いて、指もだらんとゆるめて曲がった状態で、指の第一関節を気持ちよく引っ張ってください。もちろん、両手のすべての指に対して行います。

場合によってはポキっと音が出ることもありますが、心配ありません。

整体院などでは、よく仕上げに行われる施術ですから、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。人にやってもらうと、たしかに気持ちがいいでしょう。でもいつでもセルフケアできる「打ち手」としてマスターしておくと最強です。

私たちは、手の指を使い、さまざまな作業をしています。「支える」「握る」「つかむ」「つまむ」「ひっかける」「こする」「めくる」「はじく」……。起きている間は、常になんらかの動きをしているといってもよいでしょう。指は大変な働き者です。

そもそも指は「突く」動きを想定していない

そこに加えて、近年急増したのがデジタル機器の操作です。

パソコンのキーボードに入力をする動き。スマホの画面にタッチ入力をする動き。これらは明らかに、上から「突く」(叩く)という動作です。

タイピング
写真=iStock.com/webphotographeer
※写真はイメージです

ただ残念なことに、解剖学的にみると「突く」というタテの動きに、人体は対応しにくい構造になっています。

ほかには「ピアノ演奏」も、「突く」の範疇に入ります。指で鍵盤を突く行為だからです。実際、腱鞘炎に常に悩まされ続けているピアノの先生は珍しくありません。

デジタル機器など、人が本来不得手である「突く」動きを、長く続けていくために。「指ひっぱり」をはじめ、これからご紹介していくメソッドを習慣化し、ダメージの蓄積を防いでください。

「鏡で見た自分、パソコン巻き肩になってませんか?」

ここで、あなたの「パソコン疲れ」の具合を自己診断してみましょう。

鏡の前で立ち、全身をくまなく見てください。腕はだらんと脱力してください。

「片方の肩が、下がっている気がします!」

このチェックをすると、多くの方が開口一番、肩の高さの左右差を挙げるのですが……。

より大事なのは、じつは手首のねじれ具合。あなたの手の甲は、鏡越しに見て、どう写っていますか。