難しいのが病院選び 根気よく探すしかない

今は「睡眠外来」というような専門の病院もありますが、不眠があって睡眠薬を処方してほしいという場合、最初の病院選びが難しいかもしれません。先に述べたように、不眠の原因は一つではないからです。

短期の不眠症で、2〜3日睡眠薬を飲んで、あとはもう使いません、というような飲み方であれば、近所の内科で処方してもらってもかまわないと思います。しかし50〜60代ともなると人生が複雑になっていますから、不眠の要因も複雑です。さらに、うつ症状や不安も多くみられるようになります。

明らかに精神的なものが原因で眠れない場合は精神科の医師にかかったほうがいいでしょう。うつ症状や不安を治療することで不眠症もよくなることが期待できます。

しかし、誰が「あなたは別の病院に行ったほうがいいですよ」とアドバイスするかというと、そこがなかなか難しい。睡眠専門医が、「あなたは○○科へ行ってください、あなたは○○科がいいでしょう」と振り分けられればいいのですが、実は睡眠とか不眠症についてはあまり医学部でも教えないのです。したがって、「どうして眠れないのか」を自分で考え、自分に合った医師を探していくしかないこともあります。

トライアル・アンド・エラーを繰り返すしかないかもしれませんが、根気よく探してみてください。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。

(構成=長山清子)
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