アメリカのある調査で自分の幸福度を自己評価してもらったところ、平均で46歳のときが一番不幸に感じるという結果が出たとの記事がイギリスの経済誌「エコノミスト」に掲載された。

日本でもこの年代の幸福度が低くなる要因は少なくない。たとえば、どの世代がどれだけ将来の所得を期待し、実際にどれだけ期待と異なっていたか。その度合いを分析したところ、一番残念な結果となったのは40代であった。

分析方法は次のように行った。現在の30歳が10年後、40歳になったとき、自分がどのくらい給料をもらえるかと期待するかは、同じ職場にいる40歳の人を見て「このくらいになるのか」と見当をつけるだろう。そこまでの伸び率を「期待伸び率」とする。そして10年後、実際に40歳になった時点での所得の伸び率を調べる。期待伸び率との差が「期待実現度」である。プラスなら期待以上、マイナスなら期待外れとなる。

各年代においてこの比較を行った結果を見ると、すべての世代で期待外れとなったが、なかでも40代の期待外れ度が大きい。

各年代で総じて期待外れとなっているのは1990年代後半から全体として所得が伸び悩んでいるからであるが、40代の期待外れ度が大きいのはなぜだろうか。

バブル期の消費行動を切り替えられない

40代はバブル時代に会社へ入り、先輩たちを見て「自分もあのくらいになる」と期待を持っていたが、バブル崩壊を迎え、現実はそうならなかった。経済のよい時期と悪い時期のちょうど狭間に位置したために、高い期待と厳しい現実のギャップが生じ、期待外れ感が強いのである。

これは家計の面からも不幸感を高める。就職してお金を稼ぎ始めた頃の消費行動は、その後も消費スタイルとして定着しやすい。羽振りのよかった頃と比べて所得にゆとりがなくなっても、消費レベルをすぐに落とせず、節約型の生活への切り替えに苦労するのだ。