収益面から「割安」な銘柄を見つける方法
これまでは資産の面から安全域を見てきましたが、収益面からも安全域という考えは、当然あります。
収益面から割安かどうかをみるときには、PER(株価収益率)という指標が使われます。PERは株価がその企業の1株あたり利益(以下、「1株利益」)の何倍の水準にあるのかということを示すものです。
たとえば、1株利益が100円の銘柄の株価が1000円だとすると、PERは1000円÷100円と計算するので10倍ということになります。株価は1000円のままで1株利益が200円になると、PERは倍となります。PERは低い方が割安なので、5倍と10倍では5倍のほうが割安というわけです。
PERは株価が1株利益の何倍なのかという観点からみているのですが、株価に対して1株あたりどれだけの利益を上げているのかという見方もあります。これを株式益回りといい、株価が1000円で1株利益は100円というときは、100円÷1000円×100で10%が株式益回りとなります。
預金よりはるかにいい利回り
もうわかりますよね。株式益回りはPERの逆数をとって百分率(%)であらわしたものです。銀行預金などは1000円預けて100円の利息がつくと、利率は10%といいますよね。これと同じで株式では「益回り」と言い換えて、預金の金利みたいに考えるのです。
今のところは、メガバンクの預金金利は有利なもので0.025%くらいですが、株式では10%くらいの益回りの銘柄は少なくありません。こういった株式を見つければ、預金よりもずいぶんといい利回りが得られるということになります。
それでは、収益に対する安全域はどう見ていけばいいのでしょうか。師匠のグレアムは、国債の2倍の安全域をみておけといっています。私自身は、国債の利回りと比べると、かなり大きな「安全域」をとっています。
2024年5月末現在、日本の10年国債の利回りは預金よりもよくて年およそ1%です。仮に株価が1000円で1株利益が100円の銘柄をみつけたとします。すると株式益回りは100÷1000×100=9%となり、国債よりも10倍の差があります。この10倍の差が安全域となるわけです。