インプットに比重を置くと「覚えたつもり」になりがち

「自分は集中してリスニングをしたり、リーディングをしたりしているからそんなことはない」という人がいるかもしれません。

では、いつも読んだり、聞いたりしているフレーズなどを、今すぐにどれだけ口に出すことができるでしょうか。

またはテキストを使っているなら、すでに終わった章について自分の言葉で説明することができますか?

できるとしたら、それは身についているということになりますが、もしもできないならそれはまだ覚えていない、定着していないということになります。

インプットに比重を置いた学習をしていると、どうしてもこのような「覚えたつもり、わかったつもり」の状態になりがちなのです。

小学2年生の話す単語ですら使いこなせていなかった

私が運営するSakura Englishのチャンネルで一番視聴されている動画に「ネイティブが最初に覚える英会話300フレーズ」があります。

どのフレーズも最初に覚えるという言葉にふさわしく、かんたんで短いものばかりです。この動画には、実際に私がホストファミリーの子どもたちに教えてもらったり、耳で聞いたりしたものを集めました。

ホストファミリーの子どもたちは日本でいう小学校2年生くらいでした。その年頃の子どもを想像すればわかりやすいと思いますが、難しい単語をわざわざ使うわけでもなく、限られた語彙の中で会話をしています。それでも私にとっては、はじめて聞く言いまわしや単語ばかりで、新鮮でした。

そうした子どもたちの言ったことを聞いて覚えたつもりになっていても、実際に自分で口にしてみるとうまく発音できなかったり、そのフレーズ自体が出てこなかったりすることが何度もありました。見たり聞いたりすればまた思い出すのですが、使いたいときに口から出てこなくては意味がありません。

新しいフレーズや言いまわしを見たり聞いたりすると、なんとなくわかったつもり、覚えたつもりで、知識が増えたように感じてしまいますが、実際はまだ定着させられていないことのほうが多いのです。そこでアウトプットです。

例えば「I have to leave tomorrow.(明日出発しなくてはいけない)」と頭の中で読むだけでは、ほとんど記憶に残りません。

そこで、音読したり、紙に書き出したりします。これを繰り返すことで、かなり記憶できるようになります。

【図表1】英語のアウトプットとインプット
[完全版]すごい英語独学』(かんき出版)より