居心地の良さを自ら破壊する
【柳井】エディーさん、日本代表のヘッドコーチ就任おめでとうございます。何年ぶりになりますか?
【エディー・ジョーンズ(以下EJ)】2015年以来ですから、9年ぶりになります。今後、日本代表がワールドカップ(W杯)でコンスタントにベスト8に進出できるよう、日本のラグビーの土台を固めていきます。
――おふたりは初対面ではないとのことですが、柳井さんはエディーさんにどんな印象を抱いてらっしゃいますか。
【柳井】現状を的確に把握し、ベストの組織をつくるリーダーだなと思っています。だからこそ、私も協力していきたい。エディーさんがより良い組織をつくるうえで、アウトサイドにいる私のほうが組織の強み、弱みが見える場合もあるので、今後も意見を交換していきたいと考えているんです。
【EJ】ありがとうございます。
リーダーは居心地の悪さを引き受ける覚悟がなきゃいけません
――エディーさんは柳井さんにどんな印象を持っていらっしゃいますか。
【EJ】日本の伝統的な手法にとらわれることなく、自由な発想で世界のマーケットで戦っているリーダーだと思っています。その発想力こそが、ユニクロの推進力になっているのではないでしょうか。
【柳井】私は「外からの視点」というものを大切にしてきました。日本の組織の場合、そこに属する人間が内向きになってしまうことが往々にしてありますから。
【EJ】経営にコミットすればするほど、インサイダーになってしまうということですね。
【柳井】そうなると「同調圧力」が生まれてくる。その意味で、組織が成長するためにはスクラップ・アンド・ビルドを常にやっていかなければ、停滞してしまいます。
【EJ】その発想こそが、ユニクロの強みだと思いました。柳井さんは居心地の良いところに決して安住しませんよね?
【柳井】経営者なんて、ずっと居心地が悪いままですよ(笑)。それを引き受ける覚悟がなきゃいけない。