まず、毎月使っているお金について、おおまかに「消費」「浪費」「投資」の3つに分けて考えることから始めてほしい。食費や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など、生活するのに必要なものの購入や、使用料としての支出は「消費」である。外食やタクシー代、嗜好品、程度を超えたギャンブルなど、「必要以上に贅沢をした」と感じる支出は「浪費」。また、必ずしも生活に不可欠なものではないが、習い事や本代などの中で、自分の人生のためになると感じた支出および貯金は「投資」となる。
具体的には、家計簿の要領で毎月の支出を洗い出してみるとよい。ざっとでいいので支出の各項目を「消費」「浪費」「投資」に色分けするなどして「見える化」してみよう。自分の基準で、このように仕分けしていくことで、現在の自分の家計簿の「消費」「浪費」「投資」の割合が見えてくる。
私が提案する理想の割合は、消費70%、浪費5%、投資25%である(図を参照)。できるだけここに近づけていくように努力することだ。浪費はゼロが理想なのかもしれないが、極端な削減は逆効果になる可能性がある。貯金できても、人としての楽しみや魅力を失ってしまえば寂しい人生だろう。消費も無理に抑えず、「投資」の割合をゆるやかに増やしていくのが長く節約を続けるコツの1つである。
そのうち、買い物をするときに「これは消費かな、浪費かな?」と意識するようになり、自然と要らないものを買わなくなる。日々、自分にとって大切なものは何か、長い目で見て、どこにお金を使うべきなのか。そんなことをしっかり意識することで、自然と「貯金力」が向上していくはずだ。それは、決して生まれつきや育った環境で決められてしまうものではない。
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー 横山光昭
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5200人以上の家計を再生した実績を持つ。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がシリーズ37万部のベストセラーに。
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5200人以上の家計を再生した実績を持つ。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がシリーズ37万部のベストセラーに。
(構成=八村晃代 撮影=アーウィン)