ドル建て変額保険はハイリスク・ハイリターン

たとえば、最近よく相談を受けるのが「ドル建て変額保険」について。「変額保険」とは保険料を運用して、その運用実績に応じて保険金や解約返戻金の額が変動する保険のことです。でも保険料全額が運用に回されるのではなく、運用されるのは保険会社の経費を引いた残りのお金。運用資金は多いほどリターンが期待できるので、保険金や解約返戻金が予想を下回ることも。

また「ドル建て」とは、保険料と保険金(解約返戻金)をドルでやりとりする保険のこと。保険料を払うときも、保険金を受け取るときも、為替相場によって金額が変動します。さらに円をドルに換える、ドルを円に換えるときに「為替手数料」がかかります。

ドル建て変額保険とは、運用成果だけではなく円安か円高かによっても保険金が変わるという商品なんですね。それ自体が悪いというわけでは決してありません。「ハイリスク・ハイリターン」で大きく損する可能性もありますが、大きく得する可能性も少なくない商品です。問題なのは、そのことをちゃんと理解して契約したかということなんですね。

たとえば、「円建ての保険より増えるから」と言われて契約したら、円安の影響で保険料が高騰して、「こんなはずじゃなかった」と思うのは、為替リスクのことをよく理解していなかったからかもしれません。

「貯蓄」と「保険」は混ぜてはいけない

ドル建て変額保険について「円安で保険料が高くて、もうやめたい。でも、今、解約したら損するし……どうしたらいいですか?」といった相談も多いです。今、解約した場合の「解約返戻金」が払い済みの保険料を下回る、つまり元本割れするなら、保険料の支払いをストップする方法もあります。

その時点での解約返戻金をもとに残りの保険期間の保険金を算出する「払済保険」という制度です。この制度を利用すると、これ以上、保険料を支払わなくてもいい代わりに、もしものときの保障はかなり小さくなります。保障がそれでは足りない場合は、払済保険にするのをやめるか、保障を確保できるほかの保険に加入するのが妥当です。

保障が目的ではなく、「ドル建て変額保険」でお金を少しでも有利に増やすことが目的だった場合は、解約返戻金が元本割れしないタイミングで解約してもいいですし、為替の動きに一喜一憂するのがイヤなら、早めに損切りしてもよし。

保険に加入する一番の目的は、冒頭で書いたように、もしものときの保障を確保することにあります。お金を貯めたり、増やしたりすることを目的にするのは、本来の目的とはちょっと違います。やっぱり貯蓄と保険は混ぜると危険。別々にした方が安全のようです。

まとめ
保険本来の目的は、もしものときの保障を確保することでお金を貯めたり、増やしたりすることではない