若い世代の保険料まで上がってしまう

そこで現在検討されているのが、年齢ではなく支払い能力に応じて保険料を決めよう、という方向性です。

その際、支払い能力を考えるにあたって、金融資産の額や、金融所得も、負担を決める要素に入れていこう、と議論されているのです。

「そもそも高齢者が得をしているのが問題なのに、若い世代の保険料まで上がるのはおかしい」という意見もあるかもしれません。

まだ議論の途中ですので、今後、その点を考慮して年齢制限を設ける可能性もあります。ただ、そもそも公平性を確保する目的で議論されているので、特定の年齢だけを狙い撃ちに制度設計する方向には行かないようにも思います。

「新NISA増税」はなし

さて、金融所得に応じて保険料が上がるとなると、いわゆる「NISA制度」にも適用されるかどうか気になる方も多いと思います。

特に2024年1月から上限1800万円の「新NISA制度」もスタートし、これを期に投資を始めた方も多く、「せっかく新NISAを始めたのに、その利益によって増税されるのか」と不安な方もいるでしょう。

今のところ政府側の資料では「NISAは適用外」とされています。

「新NISA」は非課税枠が売りであり、それに課税するとなると金融庁なども猛反対するでしょうし、今のところ「新NISA増税」は心配しなくてよさそうです。

また、会社員の場合も、それぞれの会社で社員の金融資産を把握し、それを基に保険料を計算する処理が事実上困難であり、やはり適用外となりそうです。

【図表】社会保険の納付
著者提供