ネットの体験談から「治療法」を探してはいけない

医師をはじめとする医療者側の役割は、患者さんの意思決定を支援し、共有することです。

がんの治療中だから好きなことをガマンしなくてはならない、楽しいことを犠牲にしなくてはならないと考えてしまう人が多いのですが、それでは何のための治療かわかりません。

一度でもがんと診断された方に対して、最近では「がんサバイバー」という呼称を使うようになってきています。現在、日本には500万人とも700万人ともいわれるがんサバイバーの方が生活しています。もはや、がんとは、より良く共存する時代になっています。

だからこそ、自己判断で決めつけずに、治療についてどんどん医療側に聞いたり、相談したり、話し合っていただきたい。

勝俣範之『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)
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また、ネットにあふれる個人の体験談は、体験談として読む分にはよいですが、そこから治療法を探そうとは決してしないでいただきたいと思います。

がんは、ひじょうに個人差の大きい病気です。

たとえ、同じがん、同じステージであっても人それぞれ違います。ある人に効果があっても、あなたにも当てはまるとは限りません。

医者と患者は対等です。医者に対して遠慮などせず、どんどん疑問や希望を伝え、双方向に話し合って、納得する治療法を選んでいっていただきたいと思います。

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