政府は「長期50年の計」を提示すべきだ

目先の政権支持率や選挙対策のための「子育て支援」をぶちあげて「やった感」を出している場合ではなく、「子育て支援」を振りかざして隠れ増税をして国民負担率をあげている場合でもないのです。必要なのは「長期50年の計」です。

若者が結婚に踏み切れなくなり、未婚者が増えてしまった1990年代からの「失われた30年」はもう取り戻せませんが、少なくともこの30年間国民負担率があがればあがるほど婚姻数も出生数も反比例して下がっている「少子化のワニの口」になっていることは明白です。

【図表】国民負担があがれば婚姻数・出生数は減る

そうして生まれた中年未婚群がこれからの30年において高齢独身者となっていくわけですが、さらに「失われた30年」の再生産は止めないといけません。

そして、今まさに「これから結婚や家族を持ちたい」と思っている若者が、少なくとも経済的な理由で「無理だ」と諦めてしまわないよう、経済や社会のお膳立てをどう整えていくかが、これから老いていく大人たちに課せられた使命でもあると思います。

【関連記事】
「結婚を避け、子供をもたない」ほうが人生のコスパが良い…現代の日本人に起きている"憂慮すべき変化"
「ゴミ屋敷になる家」は玄関でわかる…老後のひとり暮らしが破綻する人に共通する「玄関のサイン」とは
あなたが死ねば「遺体ホテル」に泊まってから焼かれ、遺骨はトイレに捨てられる…孤独多死社会の現実
成田悠輔氏の「キリンCM降板」は何が問題だったのか…「高齢者の安楽死」について医師の私が思うこと
14歳から25歳までに8回妊娠…平安貴族のセレブな令嬢が直面した若年結婚と多産、産死という過酷な運命