便秘が治らない場合は病院へ
それでも便秘が改善しないとき、数カ月内に便秘が悪化しているときは、医師に相談してください。頻度としては多くはないですが、別の病気が原因で便秘が起きることがあるからです。
たとえば排便パターンの変化は、大腸がんの初期症状の一つです。単に便秘になるだけではなく、下痢と便秘を繰り返すパターンも要注意。大腸がんを早期に発見し、治療することによって、がんで命を失うことを避けられます。がんの初期症状である便秘を下剤で誤魔化している間に、大腸がんが進行してしまった例もあるのです。
そのほかパーキンソン病や甲状腺機能低下症といった全身性の疾患によっても便秘が起こりますが、原因疾患を治療することで改善が期待できます。持病があり薬を飲んでいる方であれば、薬の副作用による薬剤性便秘も考えなければなりません。パーキンソン病治療薬、過活動膀胱治療薬、抗うつ薬、咳止め、降圧薬など、便秘の原因になるかもしれない薬はたくさんあります。
便秘薬の種類と正しい使い方
生活習慣を改善しても便秘がよくならず、他の病気のせいでもないと確認できている場合は、薬を使って治療します。便秘薬には大きくわけて「腸を刺激して蠕動運動を促す刺激性下剤」、「腸に作用するのではなく便に作用して柔らかくしたり、かさを増したりする非刺激性下剤」の2種類があります。
刺激性下剤を続けて使用すると耐性がついて効果が弱まるため、非刺激性下剤をベースに、必要なときだけ刺激性下剤を使用するのが原則です。代表的な刺激性下剤は、「センノシド」や「ピコスルファート」、非刺激性下剤は「酸化マグネシウム」です。これらは薬局で処方せんなしに買えます。用量・用法は必ず守ってください。
医療機関では、病態に応じて異なる便秘薬を使い分けます。最近では「上皮機能変容薬」、「胆汁酸トランスポーター阻害薬」といった新薬も登場し、治療の選択肢が増えました。上皮機能変容薬は、腸管上皮細胞に作用して水分を分泌させ便を柔らかくします。胆汁酸トランスポーター阻害薬は、胆汁に含まれる胆汁酸が小腸で再吸収されるのを阻害し、大腸に届かせることで水分の分泌や消化管運動を促進させます。なお、薬で効果が不十分な場合は、座薬や浣腸、摘便(便を手指で掻き出すこと)が必要になる場合もあります。