うつ症状が心臓の負担を増やす

また、現在は女性にもいえることですが、長期にわたって外で働く人たちは、仕事の成果を求められたり、夜遅くまでたくさんの仕事をこなしたり、職場での人間関係などで大きなプレッシャーを受ける機会も少なくありません。それだけ精神的な負担も増大し、うつ症状が表れやすい環境で生活しているともいえます。

かつて、「長時間、外で働く」という存在は男性でしたが、その男性の活力にはホルモンがかかわっていました。関与する「テストステロン」というホルモンの値も20代に比べて50代では3分の2以下、60代では急速に減じて2分の1以下になり、「加齢男性性腺機能低下症候群=LOH(ロー)症候群」という男性更年期障害の認識も高まっています。これも男性のメンタル面に影響します。

うつ症状はストレスと深いかかわりがあり、自律神経のバランスが崩れて副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンの血中濃度が増加したり、神経伝達物質が増えたりします。いずれも、過剰になると血管や血流に悪影響を与えるので、心臓に負担がかかってしまうのです。

手で顔を覆っている男性
写真=iStock.com/Goran Babic
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家庭で過ごす時間が“病根”になる?

いっぽう、女性のリスク因子として「食事」との関連が強かったのは、家庭で生活する時間が長いためだと考えられます。

近年はずっと外で働く女性も増えていますが、結婚を機に専業主婦として家庭に入る場合もまだ多いといえますし、心臓疾患の発症リスクが上がる高齢世代の女性ではさらに多いといえるでしょう。

家庭にはあれこれ食品が備蓄されていて、思い立ったらすぐに何か食べることができるので、知らず知らずのうちに食べ物を口にしている回数が多くなりがちです。お菓子やケーキといった甘いものをちょこちょこ食べているケースもあるでしょう。そうした積み重ねが内臓脂肪を増やしたり、肥満につながったりします。

家庭で過ごす時間が多い女性は運動不足にもなりやすく、なおさら肥満を招きやすいといえます。肥満は、脂質異常症、高血圧、糖尿病のリスクを高めます。これらは重なれば重なるほど動脈硬化が進行し、心臓疾患が発症しやすくなってしまうのです。

また最近、フランス国立衛生医学研究所などの研究で、人工甘味料の総摂取量が多い人は、心血管疾患のリスクがアップすると報告されています。近年は、人工甘味料を使ったスナック菓子や飲料、低カロリーのインスタント食品などが増えているので、家庭で無意識に口にしている人は注意したほうがいいかもしれません。