「ごほうび」がもらえることに気づかせる
あなたはこう思っているかもしれません。「それは大いに結構ですね。でも、うちの子どもは自分で服を着ないので、褒めようがなくて困っているんです」と。
ここで重要なのは、「簡単なことから始める」ということです。正しい方向への小さな一歩を褒め、そこから徐々に積み上げていくのです。
お子さんが、このところ朝の着替えを嫌がるのであれば、まずはただ服を選ぶという行動を褒めることから始めます。あるいは、下着を身につけただけでも褒めることができます。
着替えに時間がかかりすぎるのが問題であるならば、「制限時間レース」にしてみることもできます。おおらかな気持ちで始めましょう。いつもは30分かかるのであれば、20分あげましょう。そして15分、10分と減らしていきます。一歩一歩です。
子どもは、言われたことをやれば「ごほうび」がもらえると気づき始めれば、もっともっと自分でやりたくなるでしょう。重要なのは、子どもが自発的にできる小さなステップに分解してあげることです。
また、それぞれの行動に対して、その都度褒めることも重要です。いくつかの行動をまとめて、一度に褒めようと思ってはいけません。例えば、「いつもよりも順調な就寝前のルーティン」を褒めようとしてはいけません。
就寝前のルーティンを「歯を磨く、パジャマを着る、床に就く」と分解して、その一つひとつの行動について褒めるのです。
人は一度に2~3の行動にしか集中できない
子どものすべての行動を褒める必要はありません。家庭で課題になっている行動に焦点を当てましょう。子どもによって、その数は少ない子もいれば多い子もいます。
一度に全部に取り組むことは、現実的には不可能ですから、特に変わってほしいことをいくつか選びましょう(一度に3つ以内がお勧めです)。
あなたが一緒に働きたい上司のタイプについて思い返してみてください。もし上司から、すぐに改善の必要のある20もの項目が記されたリストを渡されたら、圧倒されて、どれも実行できないかもしれません。
でも、2つか3つであれば、それらに取り組み、改善に成功し、よい気分になれるでしょう。そして、それが習慣にまでなれば自信につながり、次の項目に進む準備ができるでしょう。それは子どもも同じです。
人は一度に2~3の行動にしか集中できません。私は非常に複雑な「ごほうびシール表」を見たことがありますが、それに沿って取り組むのには博士号が必要なくらい難しいでしょう。
もし、同時に2つか3つの行動だけに取り組んでいるときに、他の悪い行動が見られた場合はどうすればいいのでしょうか。それは無視しましょう。
おそらく親にとってはここが一番難しいところです。悪い行動を無視するですって? 常識では理解できないのはわかりますが、それでうまくいくのです。