顧客を中年男性に絞って拡大メンズボディケア市場

(事例)
ノンユーザーを発掘したJINS

アイエヌが、新しい市場を開発するため行ったセグメンテーション戦略は、「視力矯正の必要のない人」です。つまり、メガネを必要としないノンユーザーを心理的視点で深堀りして成功しました。

ほとんどのビジネスパーソンがパソコンを使用し、長時間使用する人はブルーライトにさらされ、眼精疲労や睡眠障害に悩まされている人がいることに着目しました。そこで、ブルーライトの光を最大50%カットし目の疲れを軽減する機能型メガネ「JINSPC」を発売しました。発売1年で50万本が売れ、5年後には累計700万本を達成しました。

(事例)
年率50%増の成功を収めたメンズボディケア

ほかにも、男性化粧品の中でも特にターゲットになりにくい中年男性に絞った事例があります。

男性はフェイスケアやボディケアを行う習慣がないため、それらの売り上げ規模は小さく、伸長しにくい市場でした。特に中年男性は無関心層が多く、空白地帯です。そこで大塚製薬は、主流の整髪料ではなく、「スキンケア」と「ニオイ対策」という中年男性の身だしなみ市場を細分化しました。

洗顔する男性のイメージ
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

中年男性でも、ニオイ対策や皮脂対策の有効機能を付加できれば十分な市場を開拓できると予測したのです。結果、加齢臭を抑える成分を開発してメンズボディケア市場に参入し、年率50%増の成功を収めました。

貧困層に着目した「BPOマーケティング」

(事例)
特定顧客のニーズに対応し大企業に成長した中古車販売

最後に、地理的細分化で成功したベンチャー企業として、山川博功社長が起業した中古車販売のビィ・フォアードについて解説していきます。

創業は2004年。創業のきっかけは、社長の車をネットオークションに出品したところ、アフリカの人が購入したことです。奇しくも2004年に、マーケティング学界ではミシガン大学ビジネススクールのC・Kプラハラード(C.K.Prahalad)教授が「BOPマーケティング」を提唱しました。

これは世界の所得ピラミッドの最下層、ベイス・オブ・ピラミッドの貧困層の人口が約40億人いて、その40億人は今後所得が上がったら重要な顧客になると主張したマーケティング理論です。