岡山県は少子化対策として「同窓会」に補助金
真剣に結婚を考えて利用している人にとっても、たんに遊びや搾取の対象として扱われることは、いたずらに時間と金を無駄にするだけです。さらに、誰ともマッチングされないという現実は、恋愛弱者の自己肯定感すら奪っていくものになります。そうした現実を実体験し、多くがアプリ利用から離れていったというのも、この市場規模鈍化の要因のひとつではないかと思われます。
残念ながら、アプリなどのネット系婚活サービスそれ自体が今の婚姻減少を食い止める救世主にはなりえません。
そんな中、岡山県の伊原木隆太知事が少子化対策として「同窓会」の開催支援に補助金を出すと表明したことがネット上でも賛否含め大きな話題となりました。地方においては、特に若年層の流出が問題であり、地元に「同年代の独身の相手がいない」というのは深刻な課題です。
かつて同じ教室で長い時間を過ごした気心の知れた同級生との交流の場を盛り上げるというアイデアは、個人的には悪くないと思います。何より変に自分を盛ったりする必要がないわけで、それだけでも自己欺瞞を演出せざるをえないマッチングアプリより精神的にも健全です。
「学校での出会い」は1980年代よりも増えている
むしろ、同窓会という範囲を拡大して、学校や市町村をまたいだ「○年卒業生同窓会」という形にすれば、旧友同士の再会だけではなく、在学時には交流のなかった地元の他校同級生との新たな出会いを創出することができるでしょう。男子校や女子校だった人にもメリットはあるでしょう。
そもそもネット系サービスでの結婚が増えているという話題に隠れていますが、「学校」での出会いがきっかけで初婚する数はネット系とほぼ同じです。むしろ1980年代よりも増えています。お見合いや職場などのかつて皆婚を下支えしたきっかけがほぼすべて激減する中で、この「学校縁」は健闘しているといえます。