マッチングアプリは本当に救世主なのか?

婚姻減少が止まらない。

2月27日に公表された人口動態速報では、2023年の婚姻数は48万9281組で前年比5.9%減となりました。この速報値は、外国人や海外在住の日本人も含む数字なので、後ほど発表される確定値としては、47.5万組程度になると推計されます。年間婚姻数が50万組を割り込むのは戦後初で、戦前も加えても1933年以来のことです。

明治時代からの婚姻数長期推移をグラフ化すれば、いかに2000年代以降で急激に婚姻数が減少しているかがわかります。婚姻が発生しなければ出生も起きません。それは、ひいては少子化がさらに加速していくことを意味します。

そんな中で、いわゆる「ネット系婚活サービス」に脚光があたり、婚姻減少に悩む地方の自治体でもこれらの事業と提携する動きもみられます。一部、メディアでは、婚活アプリなどのネット系婚活サービスが婚姻減解決の救世主であるかのように取り上げるところもあります。しかし、果たして、本当にそうでしょうか?

アプリ市場はすでに鈍化傾向にある

国の基幹統計である出生動向基本調査においても、結婚のきっかけにおいてこの「ネットで」という項目が追加され、その割合は2018年6.0%から2021年13.6%へと倍増しています。しかし、これらの割合が増えているのは、そもそも母数である全体の婚姻数が大幅に減少しているためで、これらのサービス利用増で婚姻減がカバーできているわけではありません。

また、リクルートが運営するリクルートブライダル総研が発表している「婚活実態調査2023」によれば、マッチングアプリなどのネット系婚活サービスを利用して結婚した割合が2020年に11.1%と過去最高を記録したものの、2021年は10.0%、2022年は10.8%とやや割合を下げています。

サイバーエージェント傘下で自らも恋活・婚活アプリ事業を手がける「タップル」が、2020年1月に発表していた婚活マッチング市場規模予測では、2023年には927億円、2025年には1060億円にまで伸びるとされていましたが、2023年6月の市場規模予測では、2022年は790億円(予測より6%減)、2025年は837億円(予測より21%減)と大幅に下方修正されました。市場全体の鈍化傾向が見られます。