席種は選べても、座席や見え方を選べない不誠実

取引は売り手と買い手の合意で成り立つ。納得の上で買い手が購入し、満足しているのであれば、第三者がとやかくいうことではないが、ユーミンのコンサートのように購入者が大きな不満を抱え、炎上することもあり得る。

サービスは商品購入と違い、提供を受けてはじめてその内容が分かる。ゆえに注釈で説明したからと言って納得の上で購入したとは言えないケースもある。日本では、席種を選べても、個々の座席までは選べないことが多いが、席が選べたとしても平面的な座席表では実際の状況はわからない場合もあるし、演出上の見えづらさは想像がつかない。

劇場で椅子に座って拍手をする観客たちの手
写真=iStock.com/izusek
※写真はイメージです

S席と同じ価格で販売する注釈付きS席は、売り手市場(買い手よりも売り手が有利になること)となりやすい状況の産物であり、やはり買い手である消費者の足元を見ている価格設定だろう。

注釈付きであっても座席が追加放出されることはありがたいと感じる観客の心理をうまく利用しているのではないかとも言えなくもない。見にくい席を、チケットを買えなかった希望者のために、追加放出という形で売ることで、注釈付きS席として正当化しているようにも思える。

消費者目線で考えれば、はじめから安い席として販売すればよいだけなのだ。エンタメ業界には誠意ある席種設定をしてほしい。

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