ハイライトや下線を引くという勉強法は、文章を要約することと同様に、個人差があると言われています。つまり、強調する場所を選ぶのがうまい学習者もいれば、そうでない学習者もいて、そのハイライトした教材をどのように勉強するのかも人によって違ってくるのではないかということです。
先ほどの、膨大な過去の研究を調べたダンロスキーらの報告書でも、ハイライトについてはこのようにまとめられています。
「今ある科学的根拠に基づき、ハイライトや線を引くことは有用性が低いと評価する。これまで検証されたほとんどの状況や学習者において、ハイライトは成績向上にほとんど効果がない。ハイライトをより効果的に行う知識を学習者が持っている場合や、文章が難しい場合には役立つかもしれないが、推論を必要とする、より高度な課題では、かえってパフォーマンスを低下させる可能性がある」
使うなら効果の高い学習法と併用で
このようにかなり低い評価となっているハイライトと下線ですが、僕は本や教科書、学術論文などを読む時、ハイライトしたり下線を引いたりすることがよくあります。昔から使い慣れている日本のuniのプロパス・ウインドウ蛍光ペンをアメリカでも購入して使っているくらいです。大事なところは蛍光ペン、それよりちょっと重要性は落ちるけれど強調したい箇所は赤いペンで下線と、使い分けることもあります。
ハイライトや下線を引くことは、それほど手間がかからないことと、繰り返し通読することはしないので、あとで覚え直すところ、何か資料として使えそうなところはマークしておきます(なので、みなさんも気にせずにこの本にハイライトや下線を引きましょう)。
しかし、再読と同じで、あまり効果がないにもかかわらず「勉強した気になってしまう」ことがある点には注意し、ハイライトや下線を引くだけでなく、『科学的根拠に基づく最高の勉強法』で述べているように、「思い出してアウトプットする」といった効果の高い学習法も行う必要があります。