同時に「学びなおしと職業紹介」も強化する
雇用に関する規制緩和も必要だろう。新卒一括採用、年功序列、終身雇用の発想は限界を迎えている。わが国は官民の総力を挙げて、高い成長を目指す企業を増やす必要がある。事業戦略に合わせて人員を調整する重要性は高まる。実績、専門性に見合った賃金を個々人が手に入れやすい環境を実現するためにも、労働市場の流動性向上は必要だ。
ドイツの改革は参考になるだろう。2002年以降、シュレーダー政権(当時)は、解雇に関する規制緩和と同時に失業保険の給付縮小、職業訓練・紹介を強化した。労働市場と社会保障を同時に改革し、社会全体に積極的な就業を意識づけた。
その結果、自動車、汎用型の工作機械などの分野で、ドイツ企業の業績は回復しユーロ圏経済を牽引する力を取り戻した。そうした改革には痛みを伴うが、わが国もそうした改革を真剣に検討する時期が来ている。わが国の労働市場を改革し、経済全体の効率を上げることで賃上げから消費の盛り上がりの好循環を作るべきだ。