Q:再現可能なビジネスモデル実践しているかどうかはどうやって見分けられますか?
©Takaharu Shibuya

何かに取り組んでいるふりをしているだけなのか、本当に先手をうってことを起こしているのかには大きな違いがあります。2002年に、ニューヨークで顧客行動ミーティングを50名ほどのパートナーを集めてやりました。5人が1チームとなり、総勢10チームがアップルとソニーの店舗にいって点数をつけたのです。iPodがでたばかりのころでした。かえってきたレポートを見ると、アップルが85~100点、ソニーは12~20点でした。アップルの現場はミッションを理解して行動に移していましたが、ソニーの現場はそういうふりをしていただけだったといえます。当時、アップルとソニーの2社のCEOが公に言っていたことにそれほどの違いはなかったと思いますが、現場からは、ソニーの時代が終わったことが見てとれました。ニューヨークではソニーストアはアップルストアをより先にオープンしていたのです。

私たちは再現可能なモデルを、集中<フォーカス>、定着<エンベッド>、適応<アダプト>の3過程にわけて考えていますが、集中することは比較的だれにでもできます。スマホや直営店を出すことはアップルでなくてもできますが、そこからどうやって勝つかはミッションを共有し、顧客からのフィードバックを通じてたえず学習できているかにかかっています。

Q:再現可能なモデルは企業だけでなく個人にも適応できるものですか?

もちろんです。このモデルは、クリス・ズック(『Repeatability』共著者)と私の人生観をも大きく変えました。人にはエネルギーをもっている人、もっていない人、エネルギーを与える人、吸い取る人に分けることができます。勝つことができるのはエネルギーをもっていて、かつ与えることができる人。再現可能なモデルをつかってコアとなる価値にエネルギーを絞り込めば、人生を大きく変えることもできるでしょう。

(撮影=澁谷高晴)