「やりたいこと」はやっていくうちに見つかるもの

「夢」がないことにコンプレックスを感じる人、けっこういますよね。僕は、夢なんて「普通ねぇよ」と思います。逆に、明確にやりたいことがある人のほうが噓なんじゃない? と思っています。

たとえば「野球選手になりたい」という夢を持っている人。

野球選手になりたくて野球を始めたのではなく、「たまたま上手だったから」楽しくなってきて、目指しただけの可能性があります。野球がめっちゃ下手なヤツが、いつまでも野球を愛して「選手になりたい」と思い続けているほうが、個人的には異常だと思います。

普通、やりたいことって後から見つかるものだと思うんです。やってみたら、結果「やりたいこと」になった。そっちがスタンダードなんじゃないかな。最初から「夢」にできるほど好きって、むしろ怖い。

だから、まずはやってみたらいいんじゃない? ……というのが僕の考えです。

僕は「夢なんて普通はない」派ですけど、仮に「夢」があるなら、それを追い続けることは否定しません。

夢を追いかけること自体が楽しいなら、追いかければいい。

ただ、そればかりになって人に迷惑をかけたり、追いかけた時間相応の“結果”を求めたりするのはちょっと違うと思います。「こんなにやっているんだから夢は叶うはず」みたいなことを言う人がいたら、「そんなこと言う前にもっと頭使え」と思っちゃいますね。個人的には「結果が出なかったらやる意味はない」という考え方なので、夢を“叶える”ことに比重を置くなら、やり方を変えたほうがいいと思います。

ひとつの夢を諦めたら意外な得意分野が見つかった

僕は、美容師や芸人に挑戦する過程を経て、自分の才能を発揮できる分野にたどり着けただけだと思っています。

美容学校への進学を決めた頃の僕は、具体的に美容師になる未来を思い浮かべていたわけではありませんでした。ファッションが好きだったので、浅い気持ちで「美容師って楽しそうかも」というノリが大きかったと思います。

美容師が髪を切るイメージ
写真=iStock.com/Prostock-Studio
※写真はイメージです

国家資格を取ることはできましたが、就職に失敗。第1志望の美容室に落ちたのを機に、僕は美容師になることをやめました。

今の仕事も、「クリエイターになりたい」と思って就いたわけではありません。

自分自身、まさか仕事になるほどデザインができるとは思っていませんでした。環境を変えるために初めてのことに挑戦して、やみくもに努力した結果、自分に向いていたというだけ。

「芸人」の世界で発揮できる才能は、僕にはあまりなかった。

その世界で戦うことをやめてみたら、思ってもみなかった得意分野を見つけられた。……そんな感覚です。