成功者ほど運動を好む脳科学的理由

成功者たちの共通点の一つに、「フィジカルストレングス(身体的な強さ)」というものがあります。お金を稼げば稼ぐほど、その職責やプレッシャーも大きくなるわけですが、それに耐える心の強さを支えているのが強靭な体なのです。

脳科学的な知見から述べれば、運動やトレーニングは脳に良い刺激を与え、神経伝達物質のバランスを整えてくれます。体が常に健康であることで得られるメリットには、次のようなものが挙げられます。

・沈着冷静で平常心を保つことによって論理的思考力が身につく
・いざというときの選択や決断を誤らない判断力が身につく
・自分の体験やイメージを正確に蓄えることができる記憶力が養われる
・自分が逆境の立場に置かれても粘り強く前向きに考えるポジティブ思考が身につく
・エネルギッシュでアクティブな行動力が芽生える

これらの特性をひと言でいえば、「脳のセルフコントロール力が高まる」ということです。運動やトレーニングの効果はこれだけではありません。

脳の注意システムが活性化することによって、ストレスから解放され、やる気と集中力を高めてくれるのです。

ジョギングをする人のイメージ
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです

私自身、できる限り毎朝ジョギングをするように心がけているのですが、ジムに通わずとも自分のペースでできるトレーニングから始めるのも一つの方法です。

日々のトレーニングは確実に脳と体を活性化して、あなたのお金に対する鋭い感覚を高めてくれるはずです。

働きがいを高めるために必要なこと

ある、脳科学的におもしろい実験があります。それは、「認知的不協和」というものです。

この認知的不協和とは、自分の気持ちや経験にそぐわない状況に置かれた場合、居心地の悪さを避けようとして、自分を納得させられるように自分の状態を正当化するということが起きる状況を表す社会心理学用語です。

例えば、単調な仕事を報酬の高いグループと報酬の低いグループに同時にやらせると、次第に報酬の高いグループが不平不満をいい始めるという研究結果があります。

報酬の低いグループは自分の中で「なんでこれだけしかお金をもらっていないのに、こんなにつまらない仕事をやっているのだろう」と思います。すると、自分がつまらない仕事をやっているという事実と報酬が少ないという事実が矛盾するわけです。

その矛盾を解消する方法としては二つしかありません。一つは報酬を上げてもらうこと。そしてもう一つは、この単調でつまらない仕事をおもしろいと思うことです。

しかし、報酬を上げてもらうということは現実的に難しいので、「自分がやっているこの仕事は価値があることなんだ」と思うようになるのです。