6割で判断する習慣をつける
7つのポイントのうちでも意識してほしいのは、情報を「どのくらい」集めるのかという視点です。
降水確率のようなピンポイントの情報は量を指示する必要がありませんが、「過去の天気情報」なら話は別です。1週間前までさかのぼるといいのか、1カ月前までなのか、それとも過去10年分なのか。そこを明確にしないと情報量がどんどんと膨らみ、お互いの負担が増していきます。
では、際限なく情報収集が可能な場合、どこを一区切りにすればいいのでしょうか。私は必要な情報が6割集まったら十分だと考えます。
情報収集のスタート時は、さほど苦労することなく情報を入手できます。しかしある程度の情報が集まると、徐々に壁が高くなり、不足している情報を手に入れるために多大な時間や手間を要するようになります。経済学でいう限界効用逓減の法則です。
情報収集の効率が急激に落ち始めるのは、情報量が6割を超えたあたりです。情報収集にそれ以上のリソースを投じるくらいなら、情報収集する本来の目的のためにリソースを費やしたほうがいいのです。
とくに時間は貴重なリソースです。ビジネスでは情報が6割集まった時点で判断して次のアクションにつなげないと、市場のスピードについていけません。「市場を100%リサーチしてから商品企画を提案します」と時間をかけているあいだに、市場そのものが変化します。情報収集をだらだらと続けるのは、貴重な時間をムダにする行為。6割の時点で何らかの決断をして前に進むほうが生産性は高まります。
(※『ビジネススキル・イノベーション』第5章 組織のムダを改革する(プレジデント社刊)より)