子供が小さいのは「ほんの一時期」

×数年で子供も使わなくなる玄関ステップ

1つ目は、「子供のために」と考えた玄関のステップです。確かにステップをつけることで小さい子供が上りやすくはなりますが、子供が小さいのは「ほんの一時期」です。またステップを付けることによって、玄関框の形状が複雑で大人が使いにくいです。15年もすれば、子供も大人と同じ身長になりますから、その時「使いにくい」と感じます。

2つ目は、土間収納への搬入動線です。玄関から台車を押して荷物を運ぶ想定ですが、土間には家族の靴が置かれているので、動線の邪魔になります。靴を使うたびに下駄箱にしまう習慣があるならよいのですが、それなら内玄関を設置する必要がありません。

3つ目は、玄関から靴が丸見えであることです。靴を隠す目的で内玄関を作ったのに、これでは意味が半減します。

【図表2】よい玄関と悪い玄関
玄関ステップは大人になると使いにくい(出所=『この間取り、ここが問題です!』)

これらの問題を解決するため、内玄関やステップはやめて広い玄関ホールにしました。アイデアを諦める形になりましたが、アーチの玄関框や飾り棚、構造的に必要となった柱はドーリア式に装飾され、この家の顔としてふさわしいデザインで暮らしやすくなりました。

一つだけ想定と違ったのは、建築中に奥様が3人目(男の子)を妊娠したことです。嬉しい誤算ですが、2部屋しかない子供部屋をどうするかがこれからの課題です。

日当たりもよく、開放感もあるが…

事例2:開放的。ただし子供と朝、右往左往します

子供が小学生になる前に家を持ちたいと思っていた桐山さん夫婦は、土地を購入し大手ハウスメーカーで注文住宅を建てることにしました。北側に公園が見える北東の角地です。

計画では、老後のことも考えて、1階北側に水廻りを集中させ、リビングにベッドを置けばワンフロアで暮らしが完結できるようにしています。

また南側隣地との距離が4mしかないため11月から1月までの日射取得ができないという問題を、中央に吹き抜けを設けることで解決しています。

【図表3】桐山さんの家の間取り
考え抜かれた間取りに見えるが……(出所=『この間取り、ここが問題です!』)

東西に長い23帖のLDKと吹き抜け、スケルトン階段を組み合わせることで、日当たりもよく開放的な間取りになっていますね。2階の主寝室と子供室はどちらも南向きですし、吹き抜けと一体のホールからは、北側の公園が眺められます。

よく考えられているように見えますが、この間取りにも4つの問題が潜んでいました。