派閥解消後の自民党
自由民主党の議員は370人を超える。その中には、右から左までいろいろな思想の議員がいる。だからこそ、多様性にあふれその切磋琢磨からいい意見が生まれ、いい政策につながる。派閥という枠組みがなくなっても議員はグループを作り、意見交換をしたり、政策を立案する勉強会をしたりして人間関係を築いていくだろう。
しかし派閥が生み出してきた「強固な絆」や「幹部のコントロール」がなくなれば、烏合の衆となり、自民党内で、離合集散を繰り返す野党のようになっていく可能性もある。国会議員は年齢も、背景も異なり、自己主張も強く、承認欲求や名誉欲の強い個人の集まりであり、それを派閥という教育機関がまとめ上げていたところが自民党の強みだったと言える。
今後、党本部に絶対必要なのは人事局や日頃の活動をきちんと評価できるシステムだ。これがあればこれまでの派閥推薦表などは不要になる。また、政党法を制定する中で、政策活動費の透明化や総裁選のあり方も議論をしていかなければならないだろう。
政治改革は派閥解散で終わりではなく、ここがスタートである。お金にまつわる規制強化はもちろんしていかねばならないが、規制強化の議論だけでなく、派閥と関係の深かった総裁選の在り方と今後の政策集団の在り方といったところまで幅広に議論をしていかねば、袋小路に入り、「木を見て森を見ず」となりかねない。
このままでは、総裁選はカオス化し、最後は無意味な合従連衡が繰り返される可能性もでてくる。派閥の弊害を検証しつつ、派閥の果たしてきた役割もまた、ここで一度振り返る必要がある。派閥は「悪」という論調に一石を投じるためにも。