ほんの20年ほどで様変わりした日本の葬式。都市部では個性化、簡素化が進み、わずらわしさは減ったもののなんでも葬儀業者任せとなり費用はかさむ。一体、いくらかかるのか? ズバリ教えます。

 

互助会が宣伝する「積立金」のカラクリとは

もちろん、業者によっては「会葬者が100人の場合はこれくらいの金額が上乗せされます」と提示している場合もある。なかにはホームページを開設して積極的に情報公開している会社もあり、その場合は、ほとんどが返礼品や飲食代の見積もりをきちんと出している。

逆に、地縁だけで営業しているとか、タウンページに電話番号だけを載せているような葬儀業者は、前時代的なスタイルで、ほんとうの総額がいくらになるかということを曖昧にしたまま葬儀を請け負うことが多い。

悪徳業者になると、リベートを目当てに、遺族への断りもないまま、実際の会葬者数よりかなり多めに食事を発注する場合もある。終わってみれば、寿司桶が10台も余っていた、ということも珍しくない。

料金体系については、互助会組織の葬儀業者もトラブルが目立つ。「会員」を募り、葬儀費用を積み立てるのが互助会だが、積立金はあくまでも最低限の祭壇一式をまかなえるだけの設定であり、実際の葬儀では積立金プラス100万円以上の費用がかかる、というのが常識になっている。しかし会員の大半は、積立金以外には費用はかからないと誤解している。そこに問題がある。

 

気に入った葬儀担当者と出会うには

このようななかで、料金的にも内容的にも満足できる葬儀を行うには、どうしたらいいだろうか。

すでに見てきたように、葬儀業者によって企画・演出力や料金などの情報開示のレベルが異なるのは事実だが、それよりも大きいのは、葬儀を取り仕切る担当者の実力差や依頼者である遺族との相性である。つまり、優秀で、相性のいい担当者を見つけることが大事なのだ。

葬儀業者への最初のアプローチは、電話や、最近では「価格.com」のようなネット上の比較サイトを経由することが多い。その後、見積もりを依頼し、家まで来てもらうか、場合によっては遺族が葬儀業者まで出かけていく。

その際に出会った担当者が、信頼できる人かどうか。そして、返礼品や食事代を含めた真の総額料金を試算し開示してくれるかどうか。これが、葬儀業者選びの条件である。できれば二社以上に接触し、そのなかからベストの担当者を選ぶのが望ましい。

ただ、大手の業者の場合は、見積もりのときの担当者と、実際に葬儀を取り仕切る担当者が違うことがあるので注意が必要だ。担当者が変われば、申し送りが不十分で当初の注文どおりの花や食事が手配されなかった、というトラブルも起きがちだ。「大手だから安心」とはならないことも覚えておいていただきたい。