KDDI、ソフバン、楽天が大反対した「NTT法廃止」

防衛費増額の財源に政府が保有するNTT(日本電信電話株式会社)株の売却益を充てようという下世話な着想から始まったNTT法廃止をめぐる大混乱は、1月26日開会の通常国会にNTT法改正案を提出することで、一息ついた。

その主な内容は、NTTに課している研究成果の公開義務を撤廃し、禁止している外国人役員を全役員の3分の1未満であれば代表権のない取締役や監査役に就くことを認めるというもの。

昨秋から年末にかけて通信業界を揺さぶる大騒動になったNTT法廃止問題は、改正案の付則に2025年の通常国会をめどに再び改正案を提出する旨を盛り込む方向だが、それは努力目標に過ぎず事実上の棚上げを意味する。まさに大山鳴動してネズミ一匹の感はぬぐえない。

通信政策特別委員会に臨む楽天モバイルの三木谷浩史会長(前列左端)、ソフトバンクの宮川潤一社長(同左から3人目)、KDDIの高橋誠社長(同4人目)、NTTの島田明社長(右端)=撮影日:2023年12月13日、東京・霞が関
写真=時事通信フォト
通信政策特別委員会に臨む楽天モバイルの三木谷浩史会長(前列左端)、ソフトバンクの宮川潤一社長(同左から3人目)、KDDIの高橋誠社長(同4人目)、NTTの島田明社長(右端)=撮影日:2023年12月13日、東京・霞が関

それもそのはず。「ネット時代にふさわしい情報通信法制はどうあるべきか」という、もっとも重要で根本的な問題意識とは無縁だったからだ。しかも、防衛費の財源補填は議論の途中で雲散霧消してしまったのだから、何をかいわんやである。

自民党の一部の思いつきから飛び火し、経済産業省をバックにする商工族の独善で急速に盛り上がったNTT法廃止論は、自民党内の対立を招き、「渡りに船」と飛び乗ったNTTも、反対の大合唱をしたライバル通信各社も、行司役の総務省も、みな振り回された。そして、いずれも徒労に終わったようにみえる。